そして、いよいよ妻『まん』の容態は悪くなり、今夜がヤマだという、その時です。
ムシの知らせか、仏様の御計らいか、酔っ払った清九郎が、フラッと帰ってきたのでした。
苦しい息のした、切々と妻は訴えました。
「お前さま、お念仏に結ばれたお互いの縁。
私は、お浄土の国で待っていますから・・。
どうぞ、間違わない様、阿弥陀さまの道を来て下されや・・、南無阿弥陀仏。」と言って息絶えました。
・・その突然の別れに、酔いの醒めた清九郎は、
「おぉっ・・、おまんや!。
目をもう一度、開けておくれ。
わしが悪かった!許しておくれ。
どうか、どうか、目を開けておくれ。
おまんや・・、二度とお前に苦労を掛けんから。
目を開けておくれ。」
と、清九郎は泣き続けました。
この時期から、[仏の清九郎]へと生まれ変わるのです。
[前編]おしまい
後編へ続く
[管理用]
記事一覧
※画像をクリックすると拡大されます。