住職のつぼやき[管理用]

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《父の死》を思い出して・・・

 僕の父は、おととしの夏に75歳で亡くなった。
 死因は肝臓ガンであった。
 父の病名を知らされてから、亡くなるまでわずか二週間たらずで、今思い出しても( 余り思い出したくないが・・)、あっという間の出来事だった。
 先日、本棚を整理していたら、告知を受けてから亡くなるまでの簡単なメモが出てきた・・。
 いつかは整理せねばと思いながら、ほったらかしてあった〔メモ用紙〕・・。良い機会なので、勇気を出してまとめてみたい。
 ○8月3日 足のむくみと腰の痛みが取れないとの事で、父の入院を家族で話し合い、今日、O病院に〔検査入院〕をする。
 ○8月4日 お見舞い。(元気そうな父の顔。退屈なので本を買ってきてくれとの希望。好物の柿の葉ずしをペロリと食べる。)
 夕方、病院からお寺への帰宅途中、母から携帯電話に緊急連絡が入る。〔肝臓ガンとの事。ガンはすでに心臓と肺の手前まで侵蝕していて、直る見込みはないとの事。〕 急遽、車をユーターンさせて病院へ返る。 
 午後8時、主治医の先生が待っておられ、母と娘と共に説明を聞く。レントゲンを見ながら、もう手術は不可能との事。来年まではとてももたないとの話を聞く。病院では処置できないので、自宅につれて帰っても良いとの話。又、最後は吐血し、器官がつまり窒息死をする可能性もあるとの事で、母は動揺。「このまま入院させて欲しい。又、余命も病名も告知しないで欲しい」と母は希望を述べ、今日は帰宅。 
 三重県の弟に電話で報告、途中涙が止まらない。
 ○8月5日 家族会議。僕は父の〔在宅死〕を希望。母も弟も最後は賛成する。ガン告知は父にはしない事に決定。
 ○8月6日 この日から弟は〔奇跡〕を信じ、あらゆる治療薬を買い始める。僕は、いかに人間らしく最後を迎える事が出来るかを、知り合いのホスピス医に相談しまくる。
 ○8月7日 僕たち兄弟夫婦で、〔在宅看護〕の為の日程の打ち合わせをする。又この日から、交代で病院に付き添う。
 ○8月8日 病院側の配慮で、父と二人でお風呂に入れた。頭を洗ってあげたら「極楽や~」と言ってくれた。
 ○8月11日 吐血の恐れがある為、胃を検査し入院が長引いたが本日、父退院。(・・ガンの進行は思ったより早く9月まで命が持つかと先生に云われる)
 ○8月12日 僕は〔お盆参り〕の仕事がある為休めない。14日まで、弟に付き添ってもらう事にする。
 ○8月14日 弟と交代。兄弟ふたりで父をお風呂に入れる。最後の親孝行か?
 ○8月16日 父の眼孔、閉じず。もう会話もできない。 
 ○8月17日 知り合いのホスピス医、南先生がスイカを持ってお見舞いに来てくださる。近所の主治医にもアドバイスをして下さった。本当にありがたい。明日がヤマとの事。 
 帰り際、「吐血の恐れはもうないだろう。眠るように亡くなるよ」と言ってくださった。
 ○8月18日 午前8時33分、往生。眠るように静かに亡くなった。

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