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紙芝居:「心やさしき聖者 念仏聖(ひじり)空也上人」 (中編)

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 空也上人のお人柄をあらわすエピソードに次のような話があります。
 或る日の事。
 ある御用で、帰りが遅くなり、寂しい道を一人歩いておられた空也上人を突然、数人の盗賊が囲みました。
 「私を出家と知っての事か?」と、空也様が問うと、
 盗賊達は、「当たり前よ!」と、刀や薙刀を突き付け言い返しました。
 すると、空也様は突然、大きな声で「ワァーワァー」と泣き出したのでした。
 これには盗賊達も呆れ顔で、「こいつは恐れ入ったね~。お前は僧侶だろう?物惜しみしてみっともないぜ!」と言うと、空也様は、
「それは違う。お前達はたまたま《善き縁》が整い、〔人間〕の姿に生れて来た。だから、《善き徳》を積もうと思うのが当たり前なのに、今、お前達は《悪》を犯そうとしている。それによって、来世はその罪の《果報》を受けねばならない。・・それを思うと、拙僧は、お前たちが可哀想で可哀想で泣けて泣けて・・・。」と言われました。
 それを聞くや盗賊達は、この僧はあの有名な〔空也上人〕だと覚り、算を乱して逃げ去りました。
 そして次の日、この盗賊達は頭を丸めて、空也様に弟子入りしたそうです。
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 もう一つ、盗賊たちが出て来るエピソードを・・。
 或る日、鍛冶職人が、空也様の前を通りかかりました。
 鍛冶職人は、大金を持って隣村の実家に帰る途中だったのです。
 職人はふと思いついて、空也様にこう申されました。
「お上人様、もはや日が暮れましたが、帰り道はまだまだ遠いというありさま・・。大金を所持しておりますので、どうも不安でなりません。いかなる心持で旅すればよろしいでしょうか?」と。
 すると空也さまは、「心に《阿弥陀仏》を念じなされ。ナムアミダブツと・・」と、おっしゃられました。
 果たしてこの職人、途中で大勢の盗賊たちに、囲まれてしまいました。
 そこで、空也さまに言われた通りに、心に阿弥陀仏を念じ「ナムアミダブツ、ナムアミダブツ・・」と、大きな声で称えました。
 すると盗賊たちは、「おおっ、こいつはいけねぇぜ!・・この方はあの有名な〔空也さま〕だ!・・この御方に難儀をかけちゃいけねえぜ。」と、退散したのでした。
 こうしてこの職人は、無事、難を逃れることが出来たということです。 つづく