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紙芝居:『良寛さま』 その3

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或る秋晴れの昼下がり、托鉢もそこそこに、〔良寛〕さまは、里の広場に向かいます。
 子供達が待っているのです。
「あっ、良寛さまだー。かくれんぼしよう!」
「おーっ、よしよし、やろうやろう!」と、早速、鬼を決めてかくれんぼが始まりました。
「もういいかい?」「まぁだだよ~」
〔良寛〕さまは「なかなか良い隠れ場所がないのぉ~」と、あっちへふらふら、こっちへふらふら。「あっ、よし、ここが良い!」と、大きなワラの山の中に隠れました。
「もぉ、いいよー」
「あっ、ミヨちゃんみっけ!」「わーい、わーい!」と、鬼はどんどん子供達を見つけ出しました。
・・が、〔良寛〕さまは、なかなか見つかりません。
「あーっ、もうお日様が沈む。きっと良寛さまは山に帰ったに違いないよ。オレたちも帰ろう。カラスが鳴くから帰ーえろ!」と、子供達は帰ってしまいました。
 一方、〔良寛〕さまは、ワラの中でうつらうつら、眠ってしまっておりました。
 もう外は真っ暗で、大きなお月様が出てきておりました。
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 「・・おおっ、そこにいるのは良寛さまじゃねえですかい?こんな遅くにいったい何を・・?」と、村人が見つけて言いました。
「しっー!、そんなに大きな声を出したら、鬼に見つかってしまうではないですか!」と、〔良寛〕さま。
 「はっはっはっ、かくれんぼですか。もう子供達はとっくに家に帰ってしまいましたよ。まったくおかしな人だ」と村人。
 バツの悪そうな顔をして〔良寛〕さまは、とぼとぼと山に帰って行きました。

子供たちと遊ぶのが大好きな〔良寛〕さまでしたが、生活の為に毎日、托鉢に出ました。
〔良寛〕さまは人気者でしたので、托鉢に出ると、あちこちの家で《お経》をあげて欲しいと頼まれました。
「良寛さま、あっしの家の御宗旨は『ナムアミダブツ』ですが、拝んでいただけませんでしょうか?」
「はいはい、お参りさせて頂きましょう。ナムアミダブツ、ナムアミダ仏・・・」とお参りし、
又、「良寛さま、私の家は『ナムミョウホウレンゲキョウ』なのですが、拝んでいただけませんかい?」
「はいはい、良いですよ。ナムミョウホウレンゲキョウ・・」と、〔良寛〕さまは『宗派・宗旨』にこだわらず、お参りされました。
 そんなある日のこと・・。
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いつもお参りをする作平さんのお家に行くと、子供が〔おリン〕をおもちゃにしてそのまま忘れたのか、掛け軸の前に置いたままになっておりました。
 すると〔良寛〕さまは、掛け軸の前に座って、お経を読み始めました。
 それにはみんなもびっくり。そして大笑い。「なんと、あわてもののお坊さんだ。・・そうだ、今度は庭の縁側に〔おリン〕を置いてみろ」と、イタズラ心で主人は言いました。
 すると、今度も〔良寛〕さまは、縁側に座って、庭に向かってお経を読み始めました。それを見て、又みんなは大笑い!
 「おい、次はお膳の上に〔おリン〕を置いてみよう」と言って、〔良寛〕さまを待っていると、案の定、〔良寛〕さまは、お膳の前でお経を上げ始めました。
 これにはさすがの作平さん、「良寛さま、あなたはいったいどこでお経を上げているかご存知なのですかい?」と言うと、
「はいはい、わかっていますよ。ここはお膳じゃ」と〔良寛〕さま。
「ではどうして、ご仏壇の前に〔おリン〕を持っていかないのですか?」
「あのなぁ、作平さん。仏さまは、ご仏壇の中だけに居られるのでないんじゃ。・・掛け軸にも、・・庭にも、そして食卓にも居られる。 お前さんは、この前から〔おリン〕をあちこちに置いて、それを実践しておるなぁ、と思って感心しておったんじゃが、ナムアミダブツ、ナムアミダブツ・・。」
「あーっ、なんともったいない!そんな心も知らずにわし等は、笑っておった。許してくだされ、許してくだされ」と、作平さんは、〔良寛〕さまに、深く頭を下げられ、合掌されたということです。 つづく