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紙芝居:「歌人 石上露子(いそのかみ・つゆこ)」(その5)

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 露子と別れた後、長田正平はどうなったか?
 彼は学校を退学し、貿易関係の会社に就職して、カナダの国へ渡りました。
 そして一生独身を貫いて、カナダの国で一人亡くなったという事です。
 のち露子は、家を継ぐ運命の為に、初恋の正平とのかなわなかった想いを詠んだ、絶唱『小板橋(こいたばし)』を発表します。
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(小板橋跡)
 『小板橋』
「ゆきずりの わが小板橋  
しらしらと ひとえのうばら(=野バラ) いずこより
流れか よりし。
 君まつと 踏みし夕(ゆうべ)に いひしらず 沁みて匂ひき。
 今はとて 思ひいたみて 君が名も 夢も捨てむと
なげきつつ 夕(ゆうべ)わたれば ああ、うばら あともとどめず
小板橋 ひとり ゆらめく」
 [意訳]
「私がよく渡る小さな小板橋。
 橋の下を見れば 白い野バラが どこからか流れて来た。 あなたが来て下さるかと思い、夕べ この『小板橋』まで出て来ると、言い尽くせない この野バラの香りがした。
 もう あなたのことは忘れてしまおうと思うの。
その名前も、夢も・・。
 そう嘆きながら この『小板橋』を渡り、下を見れば もう野バラは 流れ去り無かった。
 あとは この小さな板の橋だけが、私の心のように 限りなく ゆらめいていた。」 つづく
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(小板橋跡近くに建つ、現代の小板橋)