(親鸞)「唯円、泣いているのか?
さぁ、きつく叱らないから、入りなさい。」
(唯円)「・・私は隠しておりました。
嘘を申しておりました。
どのような罰も受けます。すみません、すみません・・。」
(親鸞)「仏さまが許してくれよう。」
(唯円)「私の為に、皆の平和が乱れました。
お師匠さまの申された通り、《恋》は罪を作りました。」
(親鸞)「恋の中には、我儘がある。
恋の邪魔をしようとする者を敵にしてしまう。
これが最もいけない。
今度の騒ぎも、この我儘が原因だ。
《恋》ほど、排他的なものはない。・・宗教と似たところがあるのぉ。」
(唯円)「あぁっ、私はどうすれば良いのでしょうか???」
(親鸞)「・・それが、清い恋になるように、仏に念じよ。
『甲を愛するから、乙を愛せない』というのではなく、万人みなが幸せになるような、仏様が衆生を見たもうような、そんな恋を成就してみよ。」
(唯円)「・・あぁ、私のしてきた事は、まったくギャグ・・いや逆でした。」
(親鸞)「そうじゃな。・・これはわしの経験から申すのじゃが、恋がお互いの運命を傷つけない事は、稀(マレ)なことじゃ。」
だからわしは、恋は罪と申したのじゃ。
唯円、お前はその女性を傷つけぬよう、又、他の人も損なわぬよう、自分の目も乱さぬよう、仏様に願いながら、その恋が成就するよう心がけてみよ。
・・それがお前の関所じゃ。
後はすべて仏様のお慈悲にゆだねよ。
わかったか、唯円。 南無阿弥陀仏、南無阿弥陀仏・・。」
(唯円)「はい、お師匠さま。南無阿弥陀仏、南無阿弥陀仏・・。」
さて、この『唯円房の恋』のお話はここまで・・。
この先、〔唯円房〕と〔かえで〕との恋は、いったいどうなるかって?
それは、〔第三部〕の『完結編』で解る事となります。
それでは〔第三部〕をお楽しみに。 近々発表しま~す。 おしまい