住職のつぼやき[管理用]

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仏教版「クリスマス・キャロル」、紙芝居:『極楽讃歌』 (前編)

 西洋人(キリスト教徒)にとり、一年で一番大事な〔宗教行事〕が《クリスマス》ならば、我々日本人(仏教徒)にとって、それに変わる行事は何だろうか? 
 ・・それはやはり、僕は《お盆》であると思う。
 この紙芝居は僕の大好きな〔ディケンズ〕の名作、『クリスマス・キャロル』を〔仏教版〕《お盆バージョン》に変えて作った思い入れのある作品である。(仏教もの36)
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 昔むかしの江戸時代。
 或る所にケチで頑固な《スグベエ》という名の悪徳高利貸しが一人で住んでいた。
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 時は、〔お盆〕の前の日。スグベエは今日も今日とて、番頭の《六助》を安い給金で、こき使い、働かせていた。
 ・・仕事も終わり、夜更けとなり、熟睡していた《スグベエ》の枕もとに、どこからともなく冷たい風が、突然〔ピュー〕と吹いてきた。薄目をそぉ~っと開ける《スグベエ》。
「ギャーッ!」、なんと、そこには・・、
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・・生前の悪友でもあり、仕事仲間でもあった男の幽霊が立っていた。
 幽霊は、《スグベエ》に向かって言った。
「おい「スグベエ」!ワシはお前を助けに来た。・・ワシは生前《お金》がすべてだと思い、さんざん人を泣かしてきた。だから、今は金の《亡者》になってしもうた。お前も、もう直にこのような姿になるのだぞ。・・そこで、ワシはお前の先祖に頼まれてやって来たのじゃ。
 これから、お寺の鐘が一つ鳴る事に、お前の元に全部で《三人のお客》が現れる。そのお客さんの言うことを良く聞くのじゃぞ!」・・と、言って幽霊は消えていった。

 はっと飛び起きた《スグベエ》。「今のは夢か幻か?」と思ったその時、お寺の鐘が『ゴォーン』と一つ鳴り、目の前の障子がキラキラッと光ったと思うと、そこに《仏様》が立っておられた。
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 仏様は言われた。「《スグベエ》、私は《釈迦如来》という〔過去〕の仏である。私はお前の先祖に頼まれてやって来た。今から、お前の〔過去〕の姿を見せてやろうぞ!」と云うや否や、仏様は《スグベエ》の手を握り、光の輪の中に入って行かれた。
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 光の輪から出るとそこは、《スグベエ》の故郷の田んぼのあぜ道であり、目の前には、幼き童達が遊んでいた。
 それを見て、《スグベエ》は叫んだ。「あっあれは、ワシの幼き頃の姿!なんと無邪気に遊んでおるわい、・・ワシにもあのような時があったのじゃなぁ・・」と。
 それを聞かれた《仏様》は、「次はお前の青年の頃を見せよう!」と言って、やはり光の中に入っていった。
 光から出た時、そこは、或る神社の境内で、若い男女がそこに立っていた。
 それを見て《スグベエ》は叫んだ!「あれは、ワシが村から町へ奉公に出る時!横にいるのは、恋人の《おミヨ》ちゃんじゃ。ワシは恋人に『きっと金持ちになって帰って来て、夫婦になる!』と約束したものの、その約束も守らず、町で《金》しか信じられないケチな男になってしもうた。・・ああ、仏さま、残酷でございますよ。このような場面を見せないで下さいませ!」と、・・・と叫んだ。
 ・・すると何もかも消えて無くなり、《スグベエ》は又、元の布団の中にいた。
 「ああっ、今のも夢だったのだろうか?・・それとも?」と思った時、又お寺の鐘が『ゴォーン』と一つ鳴った・・・。
 (後編)へ続く・・

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