しかし、そんな平安な暮らしも長くは続きませんでした。
それは、幼い頃に別れた実の弟[正佑(まさすけ)]の存在が原因でした。
正佑は、みすゞを実の姉だとは知らず、恋心を抱いてしまったのです。
又、みすゞも正祐のことが好きでした。
しかし、実の弟と結婚するわけにはいきません。
それで、弟を諦めさせる為に、みすゞは「私たちは、実の姉弟なのだ」と、真実を告げて、自分は不本意ながら、素行の悪かったお店の番頭と結婚することにしたのでした。
こうして、弟は諦めますが、みすゞは幸せにはなれませんでした。
『さびしいとき』(「金子みすゞ全集・Ⅱ」より)
「私がさびしいときに、
よその人は知らないの。
私がさびしいときに、
お友だちは笑うの。
私がさびしいときに、
お母さんはやさしいの。
私がさびしいときに、
仏さまはさびしいの。」
つづく