金子みすゞの故郷は、昔から[鯨捕り]の町でもありました。
みすゞの父の実家の青海島では、捕った鯨を供養する『鯨法会(くじらほうえ)』という、法要が行われていました。
それは、命を捕って生きる悲しみを、誰もが、深く心に留めておくためのものだったのです。
(産まれる事が出来なかった、子鯨の供養墓)
みすゞの、すべての命に対する愛おしさは、おそらく、幼き頃、母や祖母、そして父から聞いた[鯨捕り]の様子から生まれたものかもしれません。
『鯨法会(くじらほうえ)』(「金子みすゞ全集・Ⅲ」より)
「鯨法会は、春のくれ、
海にとびうお 捕れる頃、
浜のお寺で鳴る鐘が、
ゆれて水面をわたる時、
村の漁師が羽織着て、
浜のお寺へ急ぐ時、
沖で鯨の子がひとり、
その鳴る鐘を聞きながら、
死んだ父さま、母さまを
恋し、恋しと泣いてます。
海のおもてを、鐘の音は、
海のどこまで、ひびくやら。」
(青海島[鯨資料館])
つづく
[管理用]
記事一覧
※画像をクリックすると拡大されます。
紙芝居:「金子みすゞと仏さま」(その4)
トラックバック
- この記事のトラックバックURL
https://o-demae.net/blog/diary-tb.cgi/1209