〔仏壇〕を移動する(お引越し)儀式の事を、浄土真宗では『遷仏(せんぶつ)法要』と云う。(他宗では『お魂ぬき』・『お魂入れ』と言ったりしている。・・今回あえてこの呼び方を入れる)
さて、先週の金曜日、僕はうちの近くに、近々引越して来られる〔老夫婦〕のお家の『遷仏法要』に行って来た。
当日まず、うちのお寺に『ご主人』だけが車で来られて、「お魂ぬきの儀式をお願いします。私が車で(引っ越す前の家まで)おつれしますので。」とおっしゃられた。
僕は「わかりました。では、よろしくお願いします」と、そのご主人の車に乗り込んだ。
結果的にこれが、大冒険の始まりだった。
このご主人、車の運転に慣れておられないのだ。
しかも、方向オンチ。
しかも、カーナビがない。そして、地図までない。(一言いってくれれば、持っていくのに・・)
あるのは、自分だけが解るメモした紙一枚と、『記憶』だけなのだ。
そして、珍道中は始まった。
すぐに〔迷走〕は始まった。
30分ほどして、「・・私、今、どのどこ辺走っているんでしょうなぁ・・。ここどこやろなぁ?」と、(のんきに)突然言われた時は、僕は氷ついた。・・僕に解るわけがない。
「えっ、迷われましたか?」と、急いでそのメモを取って、必死に見たのだが、意味不明な文字で解らない。
「家内に電話しますわ」と言って電話されたのだが、奥さんも、よく解らないみたいで・・、ますますパニックが広がっていった。
僕はとにかく、そのメモの読める暗号文字を解読し、「これひょっとしたら、○○と違いますか?」と云うと、「ああ、そうや。さすが、住職さん」と、こっちを向いて頷かれる。
僕は「そんな事どうでもエエから、前向いて走ってくれ!」と叫んだ・・心の中で。
「住職さん、この信号から数えて、七つ目の道を右ですねん。数えていてくださいな」と言われるので、僕は必死で数えた。
でも、結果的に七つ目ではなかった・・・。
でも、まぁなんとか、無事にご実家には着けた。
『遷仏法要』も執り行えた。
・・無事は仏様のお導きである。南無阿弥陀仏。
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遷仏(せんぶつ)法要、珍道中
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