「そこの女、初めての顔じゃのう‥。もうちょっとこっちへ来い。」と酔っ払ったクマソは油断しました。
「今だ!」と、オウスは短剣を取りクマソの腹に突き刺しました。
「グググワァー!』と倒れるクマソ。オウスはとどめを刺そうとした時、クマソは虫の息で言いました。
「お前はヤマトの国の顔じゃのう‥。このわしを狙うとは、なかなかの奴。‥わしの名はクマソの国の勇者という意味の[タケル]じゃ。
わしを倒したお前は、ヤマトの国の勇者[タケル]じゃ。これからお前は[ヤマトのタケル]と名乗れ!クマソの国は、これからヤマトに従おう‥。」と言って倒れました。(虫の息ながら、よーく喋るやっちゃなぁー。余談)
クマソを倒し、ヤマトタケルの名前をもらったオウスは、九州全土を従わせて、意気揚々と奈良の都に帰って来ました。
そして父の天皇に誉めてもらおうと報告すると、返って来た返事はそっけないものでした。
「お前、この父の許しも得ず、ヤマトの勇者『タケル』という名前をもらったそうじゃのう。勝手な事をしおって‥。それではヤマトタケル、次の命令を与える。明日から、関東、東北へ行って、我らに逆らう者達を征伐してまいれ!すぐに行くのじゃ!」と言われました。
「はっはい、父上‥」とヤマトタケルは頷きました。
「父上はわたしを嫌っている。』と、涙を溜めて関東に向かったタケルは、休む間もなく再び出発したのでした。
その途中、叔母が巫女をしている伊勢神宮に立ち寄りました。
「叔母上、どうして父は私を嫌うのでしょうか?」
「お前の父は、そなたを嫌っているのではない。そなたが怖いのじゃ。‥いつかそなたに倒されるのではないか‥。」
「そんなバカな!?」
「きっと、いつの日か分かり合える日が来るでしょう。それまで、お前は元気でおらねばなりませんよ。
‥そうそう、お前に神の力が備わった『草薙の剣』を授けましょう。きっと、そなたを守ってくれるでしょう。」
「ありがとうございます。叔母上!」つづく
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紙芝居『悲劇の英雄ヤマトタケル』(その2)
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