(上田秋成作「雨月物語」より)
昔むかしの物語。
滋賀の三井寺というお寺に、[興義(こうぎ)]という名前の大変絵の上手なお坊さんがいました。
「ああ、毎日毎日、ワシらは仏殿の、修行に明け暮れ、いやになっちゃうよ〜。」と、こんなお坊さんでしたので、暇を見つけては絵ばかり描いておりました。
ただし、このお坊さんの描くのは、魚の絵で、それも鯉を好んで描くのでした。
又、その絵を描く方法も独特で、漁師が琵琶湖で釣って来た鯉を買い求め、絵を描いたのち、「もう捕まるなよ。」と言って、元の琵琶湖に返すのでした。
ある日、この興義というお坊さんは、不思議な夢を見ました。
それは、自分が鯉になって自由に琵琶湖を泳ぎ回る夢でした。
興義は、その夢を絵にして、『夢応の鯉魚(むおうのりぎょ)』(夢で応えた鯉)と名付けて大切にしました。つづく
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紙芝居:『泳げ!夢応(むおう)の鯉魚(りぎょ)』[雨月物語]より(その1)
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