「正行(まさつら)公よ、ようやった!・・ところで、わし等は明日にでも、京の都に帰れるか⁈」
「お公家の皆さま、敵はまだ何十万も居るのです。そんな楽にはいきません。おそらく次は奇襲では、通じぬ軍で来るでしょう。我らはここで今一度、お山に籠って機会待ち、おびき寄せる戦法を・・、」
「何をたわけた事いうか!今を逃して何とする。ここが我らの絶好機会。正行、すぐに出陣し、敵をやっつけ帰還せよ。そして我等を都に戻せ!」
「・・それは無理でございます。」
「何を武士の分際で!‥わし等のいう事逆らうか!」
「・・・・・わかりました。」と正行は伏し目ながらに御所を去る。
「家来たちよ、聞いてくれ。おそらく我等は死ぬだろう。どうやら幕府は威信を掛けて、数万以上の大軍で、攻めてくること違いない。それに比べて、我らは数千。奇襲で勝てる訳がない。
帝(みかど)は『死ぬな』と云われたが、それは当然無理な事。今まだ生きている皆の名を、この過去帖に書いておく。これをお寺に奉納し、今生別れとするとした。」
その後正行、矢じり持ち、辞世を扉に彫りました。
そして出陣したのです。
その姿、そっと見つめる[弁内侍(べんないし)]=(正行の恋人か⁈)
正行慕った初恋なれど、叶わぬ恋と涙を拭いて、去り行く姿に分かれを告げる・・。 つづく
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紙芝居:『楠木正行もここにあり!』(その4)
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