そして、私は午前中、法衣を羽織り[檀家参り]をして、
午後からは(酒屋に戻り)、前掛けをして[お酒の配達]という[二足のわらじ]を履くという生活が始まりました。
やがて、檀那寺の御住職は腰痛の手術の為、病院に入院されました。
するとやはり、私のお寺の仕事は増え、今度は酒屋の仕事が疎かになり始めました。
父が怒り出しました。
当然です。
配達要員が居なくなったのですから・・。
父はそして堪忍袋の緒が切れました。
「商売をするのか、僧侶でいくのか?はっきりしろ!」と。
私は最終通告を出されました。
悩んだ末、私は恩師に相談に行くことにしました。
その恩師は私に言われました。
「人間というものは、いつか必ず死ぬ。・・それがいつかは分からぬが、その最後の臨終の時、『この仕事を選んで良かった』と思える道を選びなさい。君は酒屋か、僧侶か、どちらが後悔しないかな?」と言われたのです。
私はこの一言で、「後悔しない」と思う、僧侶の道を選びました。
そして、父にも自分の意志をはっきりと言いました。
父はがっかりしていましたが、「お前が選んだなら、それで良い」と最後は言ってくれました。
そして私は、正式にお寺の役僧(法務員)になったのでした。
第一部、おしまい 第二部『私が住職になった理由(わけ)』につづく
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紙芝居:『私が僧侶になった理由(わけ)』(後編)
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