その結果、覚鑁上人は、わずか二か月間で、両方の座主の座を辞任してしまわれます。
そして、お不動様のお堂に籠ってしまいます。
この時、反対勢力と戦う方法もあったと思われますが・・、あえて御山(高野山)での戦さを避けられるのです。
そして、もう一度(なぜ、こうなったのか?と)しっかり、自分自身を見つめ直す道を選ばれたのでした。
・・がしかし、覚鑁暗殺団の僧兵たちは、武装してお堂の中に乗り込んで来ました。
「覚鑁はどこじゃ!見つけ次第、殺してしまえっ!」と。
僧兵たちは、槍や刀を持って、お不動様のお堂に入って来ました。
「おかしいなぁ・・。先ほど、覚鑁らしき坊主の姿が見えたのに、どこにもおらんぞ⁉
あっあれを見ろ!不動明王が二つある!・・覚鑁め、不思議な術を使いおって、お不動さまの仏像に姿を変えたに違いない! おい、槍で突いてみろ!・・血が出た方がきっと覚鑁じゃ!」と、僧兵たちはお不動さまを、槍で突き刺しました。
すると、不思議なことに、両方のお不動様から血が飛び散りました。
「やっやっ、これはいかんっ!不動明王の罰をくらうぞ!皆の者、引けい引けいっ!」と(吉本新喜劇みたいに)逃げ出しました。
こうして、覚鑁上人は命拾いしました。
これは有名な、覚鑁上人身代わり不動尊(きりもみ不動)の伝説です。つづく
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紙芝居:「懺悔の聖者 覚鑁(かくばん)上人」(その5)
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