住職のつぼやき[管理用]

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臨死体験のはなし

 先日、うちの檀家さんから貴重な体験談を聞かせて頂いた。
 いわゆる「臨死体験」の話だ。
 詳しく書くと長くなるので、聞いたところを掻い摘んで述べるとする。
 その話を語ってくださった年配の女性Yさんは、先月、突然自宅で腹痛を起こし、救急車で病院に運ばれた。
 レントゲンの結果、腸閉塞を起されていたようで、手術をするかせぬかで、ドクターも迷ったそうだ。
 それで、全身麻酔をされて、肛門から腸へと管を入れている最中、その麻酔が強かったせいか、意識を完全に失われて、命があぶなかったらしい。
 その時に、その体験をされた。
 ベットの中で自分の人生を一瞬にして、全部映画のように走馬灯の如く見たかと思うと、気がつくと、自分は暗いトンネルを抜けて、ある大きな広場に到着された。
 そこには、たくさんの人がいたそうだ。
 その人達は(自分も含めて)身体にたくさんの黒い《塊り》が付いている。
 それを一所懸命に剥がそうとするが、剥がしても剥がしても、磁石のように元に戻って来てしまう。
 各自、目の前に仏さんのような人がいて、一緒に手伝って剥がそうとしてくれている。
 しかし、皆なかなか剥れない。
 Yさんは、その黒い《塊り》は、生きて居るときに経験した《執着=迷いや悩み》である事がなぜだか解った。
 それで、「もう自分は、子育てもちゃんとしたし、仕事もきっちりした。お寺のお手伝いもしっかりした。(そう僕に言われた〔笑〕)・・後に残す夫のことは気がかりだが、子供もいるので、もう人生悔いは無い!良い人生だった。」と思った瞬間、自分にまとわり付いていた塊りがすべて剥れたそうだ。
 その次の瞬間、自分は真っ白く光輝く(それは気持ちの良い=言葉では言い表せない)世界にたどり着いたらしい。 
 「これは、お寺で言っていた極楽浄土だ!」と直感で解ったそうだ。
 ずっと自分はここに居たいと思ったそうだが、又意識が遠のいて、気がつくとベットにいたそうだ。・・腸も通ったそうだ。
 そのことをはっきりと覚えていると、僕に話された。
 Yさんは最後に「もう死ぬ事は恐くなくなりました。・・今生きているのは、貰った命だと思います。・・後は、世の為・人の為と尽す生き方をしたいと思います。・・お寺の仕事もしっかり手伝わせて頂きます。」と云われた。
 感動的なお話だった。又、有り難い言葉もおまけに付けてくださり、とってもうれしかった。
 さて、Yさんが少しの間、行ったのは、はたして極楽だったのだろうか?
 が、・・そんなことは事はどうでも良い。Yさんが助かったこと、そして残りの人生は「世の為・人の為」に尽すとおっしゃったことがすばらしいと思う!
 
 

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