住職のつぼやき[管理用]

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紙芝居:「出家とその弟子(第三部 父と子)」 その1

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 昔むかしの鎌倉時代。
 ・・前回の『唯円房の恋』のお話から、15年が経ちました。
 お念仏の教えを世に広められた〔親鸞聖人〕も御年《90歳》を迎えられ、ついに病(ヤマイ)に倒れられてしまわれました。
 そしていよいよ、その御往生の時が迫ってきておりました。
 ・・これは〔親鸞聖人〕とその息子〔善鸞(ゼンラン)〕さんとの、最後の別れのお話です。

(子供)「エーン、エーン、唯円父さまー。お母様があちらで泣いておられます~。」
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(唯円)「そんな大きな声を出してはいけないよ。
 ご病気の〔親鸞お聖人〕が、びっくりされるだろう。
 〔かえで〕、・・いやお母様のことは心配しなくても良いぞ。
 お父様が、すぐに慰めに行くでな。
 お前たちは、お部屋で静かに遊んでなさい。」
(子供)「はーい。」

(唯円)「かえでー、かえでー、かえでは居るか?」
(かえで=勝信尼)「はーい、お前さま、私はここにおります。」
 
 ・・そう、前回のお話から15年。
 〔唯円〕と遊女〔かえで〕は、晴れて結婚し、夫婦となっておりました。(・・そうか、こんなオチが待ってたのか。〔皆の声を代弁〕)
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(唯円)「〔かえで〕、いや、今は〔得度〕をして〔勝信尼〕であったな。
 子ども達が、『お前が泣いている』と言って心配しておったぞ。
 いくら悲しくても、子供の前でそんなに涙を見せてはならん。
 ・・ところで、お師匠様のご容態は、そんなに悪いのか?」

(勝信尼)「はい、お医者様が『今夜がヤマだ』とおっしゃっておられました。」

(唯円)「そうか、いよいよご臨終あそばすか。
 ・・考えてみれば、お前と私が晴れて夫婦となり、今このように子供も授かり、幸せに暮らせるというのも、何かとお師匠さまがお世話を焼いてくださったお蔭じゃ。
 まだ、その『恩返し』も出来ん内にお別れとは、私も涙が溢れてきた・・。」

(勝信尼)「お前さま、主な門弟の皆様には、ご連絡なされましたか?」
(唯円)「うん、皆にはわしから手紙で知らせておいた。」

(勝信尼)「では、ご子息の〔善鸞〕さまへは?」

(唯円)「・・・」

(何じゃ、この「・・・」は?、続きは次回。)つづく

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