住職のつぼやき[管理用]

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お彼岸を迎えて:紙芝居『二河白道物語』

 ユーミンの曲に『水の影』という名曲がある。
『・・時は川 きのうは岸辺 人はみなゴンドラに乗り いつか離れて 想い出に手をふるの・・』という歌詞の1節がその曲にある。
 僕はこの曲が好きだ。
 又、『お彼岸』が来る度にこの曲を思い出す。
 『お彼岸』というと《彼(カ)の岸》。つまり《あの世・死後の世界・悟りの世界》を意味する・・と言っても良い。
 つまり『お彼岸』とは《死》の向こう側の世界に思いを馳せる期間と考えても良いのではないかと僕は思っている。
 僕はこのユーミンの曲を何度も聴きながらこの紙芝居を作った。
ファイル 79-1.jpg あらすじ (仏教もの12) 善導大師作
 昔、広い荒野をひとりの旅人が西へ西へと向かって長い旅を続けていた。それは、遥か西の彼方に行けば《仏様の国》が見つかると聞いたからだった。
 どれぐらい歩いたであろうか・・しかし、なかなか仏様の国は見えない。
 その時、突然目の前に大きな《二つの河》が現れた。
ファイル 79-2.jpg ファイル 79-3.jpg
それは不思議な恐ろしい河で、南側は炎の河。そして北側は嵐の河であった。そして、その大河の間には細い一本の《白い道》があり、その向こうに光り輝く《仏様の国》が見え隠れしていた。
「この白い道を行けば《仏様の国》に行ける!」と旅人は解ってはいるものの目の前の大河の恐ろしさで足がすくんだ。
 その時、突然後ろから、盗賊や猛獣たちが襲い掛かって来た。
 今や旅人は絶体絶命であった。
 ・・と同時に、目の前の西の国から〔阿弥陀(アミダ)〕という仏様が現れ、「心配するな!守っているから安心してここまで来い!」と言われた。又、東から〔釈迦(シャカ)〕という仏様も現れ、「大丈夫、その道を歩め!」と指さされ言われた。
ファイル 79-4.jpg ファイル 79-5.jpg
 その声に、旅人は勇気を出して一歩一歩、歩み、そしてついに《仏様の国》に辿り着いた。
 〔阿弥陀〕という仏様は、旅人をしっかり抱きしめながら次のようなお話をされた。
 「よく勇気を出してここまで来た。あの恐ろしい二つの河の名前を教えてやろう。あの炎の河は〔怒り〕という河じゃ。怒りははお前の心を乱し、いつしかお前自身を滅ぼしてしまう。又、嵐の河は〔貪(ムサボ)り〕という河じゃ。今の自分に満足せず、感謝せず、もっと欲しいあれも欲しいという心は、嵐のように荒れ狂い、いつしかお前を飲み込んでいく。
 私や〔釈迦仏〕の声を信じ二・三歩進めども、その道の細さに心細くなり、又、後ろからのシャバ世界の悪たちがお前を呼び戻す。しかし、お前はそれにも負けず、我を信じここまで来た。《信じる》というのは誠に苦しいものよなぁ。しかし《道》は細くとも、もうすでに完成しておるのじゃ。だから真っ直ぐ進むだけで良かったのじゃよ」・・と言われたそうです。おしまい

 
 
 

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