住職のつぼやき[管理用]

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紙芝居:「出家とその弟子(第一部 悪をせねば生きれぬ人)」(その3)

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(お兼)「お前さん、大変よ! あのお坊さんたち、まだうちの屋根の下に居られますわっ!」
(左衛門)「何っ、すぐに入ってもらいなさい!」 
 そしてお兼はお聖人たちに、
(お兼)「・・なんと、まだうちに居られたのですか?!・・さぁさぁ、中に入ってくださいな。火にあたって身体を温めてくださいな」と言いました。
(親鸞)「おぉっ、それでは上がらせて頂きましょう。」
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(左衛門)「・・私はなんと酷い事をしたか。お許しください。」
(お兼)「この人、本当は気の弱い優しい人なんですよ・・。お許しくださいませ。」

(左衛門)「・・私は皆さんに、随分酷い事を致しました。・・酔っているとはいえ、自分のしている事、しゃべっている事が本当は解っていたんです。・・解っていながら、口から出てくる〔呪い〕の言葉を止める事ができませんでした。
 そして皆さんを追い出してから、すぐに後悔いたしました。すぐに謝りたいと思いました。・・しかし酔いの力で誤魔化してしまいました。
・・悪いと思っていながら、どうする事も出来ませんでした。」

(親鸞)「仏様の教えでは、それを『業の力』というのです。『皆、その力に強いられると抵抗する事ができないのだ』と仏様はおっしゃっておられます。・・誰もが皆、持つものなのです。
 だから私は、あなたを卑しいとは思いませんでした。」

(左衛門)「どうか、お許しください。」

(親鸞)「仏様が許して下さいましょう。・・だがご主人、私も突き詰めれば同じなのですよ。
 私もあなたに杖で叩かれ、雪の寒さで震えた時、あなたを怨もうとしました。
 私はあなたを〔呪う力〕と、闘わねばなりませんでした。
 私は決して、仏さまのような優しい心で、〔念仏〕している訳ではないのです。・・私の心も苦しみに囚われているのですよ。」

(左衛門)「・・あなたは変わっておられる。今まで私が出会った事のない性格のお坊さまです。・・あなたはご自分が〔悪人〕のようにおっしゃる。」

(親鸞)「はい、私は自分が〔悪人〕だと思っております。」

(左衛門)「えぇっ、そうなのですか?・・実は私も自分が〔悪人〕だと思って苦しんでいるのですが・・。いつかその報いで、死後に地獄に落ちるのではないかと、不安でたまらないのです。
 お聖人、教えて下さい。悪人は皆、地獄に落ちるのでしょうか? ・・いや、〔地獄・極楽〕世界というのは、本当にあるのでしょうか?」 つづく

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