住職のつぼやき[管理用]

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紙芝居:『杜子春(トシシュン)』 (その1)

「芥川龍之介の代表作は何?」と聞かれたら、『蜘蛛の糸』とおっしゃる方が多いだろう・・。
 が、僕はこの『杜子春』を挙げたい。
 僕はこの作品が大好きだ。
 中国の古典『杜子春伝』を基にして書かれた、この芥川児童文学。 原典とはちょっと違ってハッピーエンドで終るところが僕は好きなのだ。
 では、「原典の中国作品の終り方はどうなっているのか?」って・・?。結構エゲツナイ!・・が、それは又別のお話・・。とりあえず、今回は芥川作品の「紙芝居」の始まり、はじまりー
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 ある春の夕暮れです。
 中国の都〔洛陽〕の西の門の下で、ぼんやりと壁にもたれている若者がおりました。
 若者の名は〔杜子春〕といい、仕事は無し、食べ物は無し、この上は、川にでも身を投げて死んでしまおうかと悩んでいたのです。 その時、突然・・、
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「お前は何を考えているのか?」と、一人の老人が現れて声を掛けました。
「・・私ですか。私は今夜、寝る所も無いのでどうしたものかと考えているのです」と、杜子春が答えると、その老人は、
「そうか、それは可哀想だ。・・ではワシが良い事を教えてやろう。 今、この夕日の中に立って、お前の影が地に映ったら、その頭の所を夜中に掘ってみよ。 きっと車に一杯の黄金が埋まっているはずだから。」と言いました。
「本当ですか!」と、杜子春。
 その夜、老人に言われた通り、地を掘ってみると、その言葉通り黄金が山ほど出てきたのでした。
 こうして杜子春は、一夜の内に〔洛陽一の大金持ち〕になったのでした。
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「やぁ、杜子春さん。いつもご馳走になって悪いねぇ・・。私たちは、ここへ来るのが一番の楽しみなんだよ。朝、昼、晩、あなたの顔を見ずにはおられんのさぁ。わっはっはっ」と、杜子春の家には連日お客さんの山。
「どうぞ、どうぞ、ご自分の家だと思って、いつまでも、お好きなようにしていて下さい」と杜子春。
 お酒も食べ物も、飲み放題、食べ放題・・。
 これではいくら杜子春が大金持ちでも、続きっこありません。
 こうして、やがて三年目の春には、又、元の一文無しに杜子春はなってしまいました。 つづく
 
「(黄金の)ご利用は計画的に・・」by○○金融CM

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