住職のつぼやき[管理用]

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運の良し悪しに執われない!『サイオウの馬』

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 或る時僕は、「私ほど運の悪い者はない・・」というお声を老人ホームの中で聞いた。
それで、なんとかその老婦人をお慰めできないものかと作ったのがこの紙芝居である。
 《あらすじ》〔昔ばなしもの9〕
 昔むかしの中国のお話。或る所に小さな牧場を経営するサイオウ親子が住んでいた。ある日、父は息子のサイオウに10頭の馬を買ってこい命じた。喜び勇んで馬市場に行ったサイオウの目に入ってきたのは1匹の光り輝く白馬であった。その馬はたった1頭で10頭分の値段がした。・・が、サイオウは思い切って買ってしまった。帰ってきたサイオウに父の雷が落ちたが、やがてその馬の世話を任されることになった。・・が、しかしその馬は賢い馬で、ある日柵の壊れかけた所を見つけるとそこから逃げ出してしまった。
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それを見た近所の人達は、サイオウを指差し「サイオウほど運の悪い者はいない!」と言って笑った。・・サイオウ自身も〔自分は運が悪いと思った〕。
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・・が、やはりこの馬は賢い馬で、2・3ヶ月経ったある日、野生の馬のボスとなり、たくさんの馬を引き連れて帰って来た。それを見た近所の人達は手のひらを返したように「サイオウほど運の良い者はいない。賢い馬を買ったからこんな幸運が舞い込んだのだ!」と褒め称えた。サイオウも〔自分は運が良い〕と思った。
 ある日、サイオウはその馬に乗って散歩に出た。すると突然、土の中からモグラが現れ、驚いた馬は主人を振り落とした。その打ち所が悪く、サイオウの足は骨折し寝たきりの生活になってしまった。・・近所の人達はそれを見て「やはりあれは悪運をもたらす馬だ!」と言って笑った。又サイオウもそれを信じた。
 その年、中国で大戦争が起こり村の若者は皆徴兵され、大多数が戦死してしまった。・・がサイオウは足を怪我していた為、戦争に行かずに済み、命拾いをしたのだった。それを見た近所の人達は「やはりサイオウの馬は幸運をもたらす馬だ!」言った。
・・が、もうこの時サイオウは自分が運が良いとか悪いとか思うのはやめていた。〔今日良いと思った事でも明日はどうなるかわからない。その逆も又しかり。そんなことに執われず、今日一日を大事にして、この馬をしっかり育てる事に専念しよう〕と・・。
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実はこのお話《人間万事塞翁が馬》という故事をアレンジして作ったものである。ちなみに《塞翁(サイオウ)》という主人公は本当は老人であり、周りの言葉に動じない人物として登場しているのだが、「そんなヤツおらんやろ~」と思う僕はあえて〔周りのうわさ1つ1つに心を動かされる人間くさい〕ひとりの少年の成長のお話にした。その方がずっと共感しやすい話になる!と思ったからである。おしまい

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