(一遍)「そうじゃ、わしはただ[阿弥陀仏]のお救いを、皆に知らせるだけで良いのじゃ。・・わしは阿弥陀様の宣伝マンじゃ。それに撤しよう!・・そして皆に、(阿弥陀さまを知って頂けた、)そして(阿弥陀様とご縁を結んで下さった)その記念(証し)としてこの[念仏札]を配ろう!」と、一遍さまは固く誓ったのでした。
しかし、その決意の中でひとつ気がかりがありました。
それは、一緒に旅をしている(妻と子)のことでした。
(一遍)「・・しかし、わしが[阿弥陀]さまの宣伝マンに撤して、多くの場所を巡り、多くの人たちとご仏縁を結ぶ為には、もうひとつ(大きな自分の執着を)捨てねばならぬ。・・それは妻と子だ。」
そこで、一遍さまは妻と子に別れを告げる決意をしました。
(一遍)「超一、超二や、辛いけれどもここで別れよう。お前たちは故郷に帰るも良し、どこか別の場所で庵を持つも良し、自由にしなさい。私はこれから一人で行く。
私は、決してお前たちの事が嫌いになったんじゃないよ。
お前たちのことは本当に愛している。
しかし、お前たちとずっといると、常に私は、お前たちのその日の宿や食事のことを心配し続けなければならない。
自由な心が束縛されてしまうのだよ。
私はもう、お前たちの夫や父親ではない。私一遍は阿弥陀様のものなのだ。阿弥陀様の一遍なのだ。
だから、ここで別れておくれ。」と、妻と子に涙ながらに伝えられました。
そして、一遍さまは、妻と子をお供に託して、別れを告げました。
そして、一遍上人は、この時から、まさにすべてを捨てた『捨て聖』となって、念仏流布の旅を続けられることになったのでした。 つづく
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紙芝居:「捨聖 一遍上人」(その6)
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