弟子は言われた通りにしました。
・・そして、死んだようになりました。
母、妻、その他の肉親たちは、彼が突然亡くなったと思い泣き始めました。
折も良し、その時、医者に変装した師匠が訪ねてきました。
「わしは医者だが、どうして泣いているのか⁈」と訪ねると、家族は訳を話しました。
そこで、医者はみんなの前で言いました。
「ここに良い薬があります。これを飲ませると、旦那さんは必ず生き返ります。
・・だが、一つ条件があります。
この薬は、まず最初に、親族の者が飲まなければならないのです。
それから、旦那さんに飲ませます。
すると、旦那さんは生き返ります。・・が、最初に飲んだ者は死ななければなりません。
見渡したところ、お母さんも奥さんも、親戚の方たちも、何人もおられる。
きっと、どなたか、この薬を飲んでくださるでしょう。
そうすれば、この前途ある若者の命は助かります。」と言いました。
もちろん、幽体離脱した弟子は、すべてを聞いていました。
医者のふりをしていた師匠は、まず母親に声を掛けました。
母親は嘆きのあまり、床の上を転げまわって泣いていたのですから・・。
「お母さん、もう泣くことはありません。
早くこの薬をお飲みなさい。そうすれば、息子さんは生き返ります。・・もっとも、あなたは死にますが・・。」と言いました。
母親は薬を手のひらにのせて、考え始めました。
ずいぶん、考えました。
そして、医者に言いました。 つづく
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紙芝居: 『インドのえらーいお坊様のお話~頼りになる者の巻』(中編)
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