殿様は思いました..
「そうじゃ・・。昨年、作材の村人の大半が税を払えず、一夜にして、大船で夜逃げをした。
それを[逃散(ちょうさん)]と呼び、藩上げての大騒動になり探査したが、ついに村人は一人として見つからなかった。
どうやら風のうわさでは、村人たちは北九州の方面へ逃げたのでは⁈・・と聞いたが、今もどこへ行ったか、わからないままじゃ・・。
作材の村人は、今もこの『岸和田』の土地に愛着があるにちがいない⁈『作材に帰りたい、作材に帰りたい!』と故郷を思っているにちがいない⁈
しかし帰ってきたら、罰せられる。・・そんな望郷の複雑な念が、この作材の『石』に乗りうつっているかもしれん・・。城に居ればさぞや窮屈であろう。
そうじゃ、きっとそうじゃ。・・この石は、やはり元の『作材』村に返してやろう。」
そして次の日、この夜泣き石は、庭から掘り出され、又『作材』村に帰ることになりました。
「そーりゃ、そーりゃ」と、村人たちもうれしそうです。
「なんか、やけに軽いのおー、行きはあんなに重かったのに!」と。
そして、この石は元の川の石橋に戻りました。つづく
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紙芝居:『夜泣き石』(その4)
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