住職のつぼやき[管理用]

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紙芝居:『太子と雪丸』(その3)

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太子「おおっ、そなた、身よりは無いのか?
 この寒さで、着るものも無し。・・食べ物も無し。
 そうじゃ、私の荷物に少しの食べ物があった。・・それにもし良ければ、私の着物を着てくれんか?」
と、太子は少しの食べ物と自分の着物を差し出して、その人に着せたんだ。
 その男の人は、涙を流して太子の手を握り感謝した。
太子は「さぁ、良ければ、一緒に私の屋敷まで行かぬか?」
と誘ったけれど、男の人は頑として、そこを動かなかった。
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 次の日、太子とボクはあの男の人が気になって、もう一度、同じ場所に行ってみた。
 すると、男の人はにっこり笑って、そこで亡くなっていた。
 太子は家来に命じて、すぐ近くにお墓を作って、手厚く埋葬した。
 かわいそうだったけれど、その男の人の最後は幸せだったかもしれない・・。
 だって、太子というお優しい人に出会えたんだもんね。
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 ところで、なぜ、太子がそんなに優しい心を持つようになったのか?
 それは、若い頃、中国のエライお坊さんに、ホトケの教えを習ったからなんだって・・。
 あっ、そろそろ今日も、その仏の教えを勉強する時間だ。
 大人になった今も、太子は勉強してるんだよ。
 もちろん、ボクも一緒さ。
太子「さぁ、雪丸。一緒にお経の(※『勝鬘経(しょうまんきょう)』より)勉強をしようね。私についてお経を称えるんだよ。」
雪丸「ワン!」

太子「世尊よ・・。」
雪丸「ワオンよ・・。」

太子「今後、」
雪丸「コワンゴ・・、」

太子「私は病気で苦しむものを・・、」
雪丸「ワンたしは、びょうきで、くるしむものを・・、」

太子「見たなら、」
雪丸「見たなワン、」

太子「見捨てずにしません。」
雪丸「見捨てずにしまワン。」

太子「雪丸、上手だよ!」
雪丸「ワンワン、ワンダフル!」つづく

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