「やぁ、みなさん、こんにちは。
安楽庵(あんらくあん)策伝(さくでん)でおます。
これから、私が書きました[落語]の基になりました『醒睡笑(せいすいしょう)』という本の中から、二つ、小話を聞いてもらいまひょう。
きっと皆さん、『あぁ、それ、聞いたことある!』と思いはりまっせ!
・・そやそや、これも言うとかな。
この書物『醒睡笑』は、『眠りを覚まして笑てまう』という意味があるんでっせ。
又、本のネタは、ワテが小僧の頃から、耳にした[おもろかった話]を、メモした物なんです。まぁ、それをまとめてこの本にしましてん。
では、一本目。『星取り竿』の小話のはじまり、はじまり~。
あるお寺の話です。
夜更けに、庭の中で、長竿を空に向けて、振り回してる小僧がおりました。
和尚がこれを見て、「おまえ、長竿持って何してんねん?」と聞いたんです。
小僧は「夜空の星を取ってるんです。・・でも、竿で叩き落そうとしても、中々落ちてこないんです。」と答えました。
それを聞いた和尚。「さてさて、ドンなやっちゃ。そこからではとどかんぞ。」と言いました。
「はぁ?」と小僧。
そして、和尚は一言。
「屋根上がれ!」。
こんな、話でんねん。
弟子も弟子なら、師匠も師匠。
これ、戦国時代のワテが見聞きしたホンマの話でんねんでぇ。
・・でも、これで終わったら、仏の教えが無い。
わては『醒睡笑』の中で、最後に言いました。
『師匠の教えは、ホンマ有り難いもんや。』と・・。
こっちの方が、ホンマの落ちみたいやなぁ。 つづく