住職のつぼやき[管理用]

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法話紙芝居第一号:『くもの糸』と『続・くもの糸』

ファイル 112-1.jpg 〔文学もの1〕
『くもの糸』と『続・くもの糸』・・これが僕の紙芝居、第一作目の作品である。
 これは今から13年前、《老人ホーム》での『法話会』用に作った作品で、今振り返れば〔雑〕な絵ながら(今もあまり変わらんが・・)思い入れも深かった。
 《『紙芝居』を使ってお話を進める》という、『法話会』の形は決めていたのだが、いざ始めるとなると、どんな内容の『紙芝居』にするか悩んだ。
 そこで苑内で《アンケート》を取ってみたら『地獄・極楽〔あの世〕の話が聴きたい』というのが一番多く、それで、この芥川龍之介さんの有名な作品を選んだのだ。
・・ただ、これは悲劇的結末で終わる為、これを見られた〔お年寄り〕が、ガックリされてはいけないと思い、又、「こんな話やったら、もう来月は参加せんでおこう」と思われるのが嫌で、オリジナルの『続編』も加えた。(そんな《製作裏話》が実はあったのです) それではここらで、本編のはじまり、はじまり~・・。
 〔あらすじ〕
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 昔、《地獄》の血の池に〔カンダタ〕という名の或る大泥棒がうごめいていた。この〔カンダタ〕、生前悪い事ばかりやってきたが、一度だけ〔生きているクモを助ける〕という良い事をしたことがあった。
 それを思い出された《極楽》の〔おシャカ様〕は、極楽のくもの糸をお手に取って、〔カンダタ〕の元におたらしになった。
 それに気がついた〔カンダタ〕はしっかりとくもの糸を握りしめ、上へ上へと登り始めた。・・が、なかなか《極楽》には着けず、ふと下を見ると、自分と同じように数限りない罪人たちが登ってくるではないか。この細いくもの糸がこれだけの重さに耐えられるはずがない。〔カンダタ〕は《おシャカ様マジック》を知らなかったのだ。・・・そこで〔カンダタ〕は「このくもの糸は俺様のものだ!みんな降りろ!」と叫んだ。そのとたん・・、
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 今までなんともなかったこの《くもの糸》は切れ、罪人たちは皆、元の地獄の底に落ちてしまった。その一部始終を見ておられた〔おシャカ様〕は、悲しそうなお顔をされながらその場を去って行かれたという。 おしまい・・・いや《続編》に続く。
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 あの〔カンダタ〕が、血の池に落ちてから何年、いや何十年かが過ぎた。おシャカ様は又、ふと〔カンダタ〕の事を思い出され、再び《くもの糸》を血の池におたらしになった。
 それに再び気がついた〔カンダタ〕は又、糸を握り締め上へ上へと登り始めた。・・が前と同じ、やはり下を見ると、数限りない罪人たちが登ってくる。
 この時、〔カンダタ〕は考えた。『自分さえ良ければよい、という考え方がダメなのだ!』と・・。
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 そして〔カンダタ〕は叫んだ。「このくもの糸はみんなのものだ!さぁみんなで極楽に行こう!落ちそうな者は俺につかまれ!」と・・。やがてすべての罪人の心にも《仏心》が涌き起こり、みなで助け合いながら極楽へと行く事が出来た。その様子をずっと見ておられた〔おシャカ様〕も今回は大変満足そうであった。
 やがて・・今ではもう誰もいなくなった《地獄》の存在意義はなくなり、ぺんぺん草が生えているという。 ・・すでに《極楽》に〔ドッキリ・レジャー施設〕として売却される日は近いとのもっぱらのうわさである。おしまい。


 

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