だが、二匹か、三匹くらいがドボーン、ドボーンと、音をたてて逃げてゆく。
そんな時、漁師は言うよ。「おっ、一匹デカいやつが逃げちまったぞ!」と。
これが『悟れた人』。大いなる安らぎが手に入った人じゃ。
しかし、網にかかった大部分の魚は、逃げようともしない。
それどころか、網の目を口にくわえて、湖の底に潜り込んでじっとしてる。「もう心配ない。俺たちはうまくいっている」と考えている。
世の中はそんなもんじゃ・・。
やがて漁師たちが網を引き上げ、一匹残らず捕まってしまうことが、どうしてもわからない。
これが、そっくりそのまま、『縛られた人』の有様じゃ。
皆の衆、世間の楽しみなど、幻のようなもんじゃ。
・・地位、名誉、お金、すべては幻・・。
漁師の網を抜け出す!それは、世間の束縛の網!
大いなる安らぎを求める、そんな方法をそれぞれが探すこと・・それが大切な事なんじゃよ。 おしまい
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紙芝居:『インドのえらーいお坊様のお話~縛られた人の巻』(後編)
紙芝居:『インドのえらーいお坊様のお話~縛られた人の巻』(前編)
わしの名は『ラーマ・クリシュナ』。
インドのえらーいお坊さんじゃよ。
皆の衆、しばらく、わしの話を聞いておくれ。
それでは、はじまり、はじまりじゃ。
わしの見る所、世の中には、四種類の人間がいるのぉ。
一人目は『世の中のあらゆることに縛られた人』。
二人目は『そのあらゆることから、脱け出して悟りを求める人』。
三人目は『あらゆることから、悟れた人』。
そして、四人目が『人びとを幸せにするためだけに、この世に居る人』じゃ。
たとえ話をしよう・・。
湖に漁師が網をしかけた。
賢い魚は、決して網にはかからない。
これは、人びとを幸せにすることだけを考えている人じゃ。
世俗の楽しみに、まったく興味がない。
ブッタなどの偉大な聖者たちの魂じゃな・・。
だが、ほとんどの魚は網にかかってしまう。
この中で、幾匹の魚は、逃げよう!と頑張る。
これが、悟りを求める人じゃ。
けれども、皆が逃げれる訳ではない。
世の中には、誘惑が多いので、逃げるのが難しいのじゃ。
後半に、つづくじゃ。