住職のつぼやき[管理用]

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トラウマからの脱出

 ・・時々、『トラウマ』と言っていいのだろうか?
 病院の中にいるような錯覚、そんな夢を(まだ)見る。
 お医者さんから「君は退院したら、身体障害施設に入所してもらわねばならんようになる。まぁ、デイサービスに通っても良いかもしれんが・・」と、僕に言っている夢だ。
 それをまるで、他人のように聞いている僕。
 でも、それは僕のことだ。
 まだ、医者の話は続く。
 「退院しても、右腕は効かないだろう。正座も出来ない。言語障害も残るだろう。・・つまり喋れない。覚悟せねばならない。」と説明が続く。
 今はリハビリのお陰で運良く、すべてが軽く済み、普通の生活に戻れたので、こんなことが書けるのだろうが、やはり、こう言われた場面を夢で思い出すのだ。
 右腕が動かなかったら、もう『紙芝居』が書けない。
 正座が出来なかったら、もうお参りができない。つまり仕事ができない。
 言語障害も、お経もあげれないし、紙芝居も読めない。
 僕のすべてが、無くなってしまう。
 今日、ひとりの檀家さんから「住職さんが、こうして私の家に来て、仏壇の前でお参りをしてくれる事は、奇跡やと思っているんでっせ。」と言われた。
 ホンマに助けてもらった命。
 又、動けて喋れる幸せ。
 大事にせねばならん。
 その檀家さんから帰り際に言われた「住職さんが経験しはった事を、皆に伝えて欲しいわ。・・それが仏さんに対する恩返しとちがうやろか?」という言葉。
 僕の背中にドッとのし掛かった。

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