住職のつぼやき[管理用]

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カレンダーの標語

 檀家さんへ年の初めにお渡ししている『標語カレンダー』。
 今月(七月)の標語は「生きているって 廻りに 迷惑をかけているんだなぁ」であった。
 昨日、お参りに行かせて頂いたお家で、この標語のことが話題に挙がった。

(奥さん)「院主さん、うちの主人が、今朝、この標語を見て、しみじみと言いますねん。・・わし、迷惑ばっかり掛けて生きてるよなぁ・・。あぁ気が滅入るわ」と。
 そこの家のご主人は、持病を持っておられて、毎日病院へ通院しなければならない。それで奥さんや息子さん夫婦に、迷惑を掛けて申し訳ない、と言っておられるのだ。
(奥さん)「・・それで私、『今日、院主さんがお参りに来てくださるから、この標語の意味を聞いておくわ』って言いましてん。これ、どういう意味なんでしょうかねぇ?」
 僕は、「おそらく、ご主人も心の奥では解っておられると思うのですが・・、」と前置きして、「この標語は、私たちみんなのことを言っているのだと思いますよ。元気な者も含めて、迷惑をかけずに生きていける者は誰一人いない。・・だからこそ、謙虚に感謝を忘れずに生きていきましょうねって、いう意味だと僕は思うのですが。」と言った。
 奥さんは「やっぱり、そういう意味ですよね。そこに隠れて聞いている主人に、そう言うときますわ。はははっ」と云われた。
 『わしは、この年まで誰にも迷惑を掛けずに生きてきた!』と、よく言われる人がいるが、少し視点を変えて物事を考えてみるだけで、『謙虚』や『感謝』の二文字が頭の中に甦ってくるような感じがする。
 そんな事を改めて考えさせられた、昨日のお参りであった。
 

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