住職のつぼやき[管理用]

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紙芝居:「地獄のはなし」 その6 (最終回)

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 〔子供の地獄〕と言っても、正確に言えば、そこはまだ〔地獄界〕ではない。
 お前が通って来た〔三途の川〕の辺にある世界なのじゃ。
 そこは《賽(さい)の河原》といってな、幼くして(自ら命を絶ってしもうた者たちの)居る世界じゃ。
 ここでは、皆が〔小石〕を積み上げて、塔を築こうとする。
 それは、高い塔が出来たら、人の世に生まれ変わる事ができるからじゃ。・・皆、後悔しているんじゃな。・・やり直したいんじゃ。
 だから、皆、一生懸命に塔を築こうとする。
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 しかし、もうちょっとで完成すると云う時、鬼が現れてな、その塔を壊してしまうんじゃ。・・だから、やはりここも地獄じゃな。
 それを聞いていた〔お地蔵さま〕は、閻魔大王には聞こえないような小さい声で、悪兵衛に言った。「・・心配するな、悪兵衛。あの子たちは、私が必ず救出するから。私に任せておけ・・」と。
 悪兵衛は、それを聞いてちょっと安心した。
 そして、子供たちに向かって呟いた。
「子供たちよ、いかなる理由があろうと、命を粗末にしてはいかんかったんじゃぞ。・・頑張って塔を築けよ!そして後は、お地蔵さまにお任せするんじゃ!」と。
 悪兵衛の目は涙で一杯になった。
 そして、目の前が見えなくなってしまった。
 悪兵衛の意識は、再び朦朧とした。
 気がつくと・・、
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 悪兵衛は、布団の中に居た。
 「あぁ、わしは甦った。・・お地蔵さまのおかげじゃ。」と、呟き合掌した。
 そして、驚く手代たちに向かって、悪兵衛は言った。
「・・わしは今、地獄へ往って来た。・・あんな所、二度と往きとうない。わしは極楽浄土へ往きたい!・・だから、わしはこれから〔善人〕になる!。これからはもう、決して他の人を悲しませるようなことはせんぞ!」と・・。 おしまい 『極楽のはなし』へ、リンク・・。 

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