住職のつぼやき[管理用]

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救急車の音(サイレン)聞こえず・・・

 今年の夏は暑かった。(まだ、残暑〔超〕厳しいが・・)
 しかし、お年寄りは〔クーラー〕の人工的な涼しさを嫌う方が多い。
 特に田舎では、夏でも涼しい〔山の風〕がたまに吹く為、朝から窓を開けっ放しにして、うちわで涼を取っておられる方が多い。
 これは、この前あったそれを代表する〔一人のお婆さん〕のお話。

 僕は、そこのお家の〔御仏壇〕で、「汗水流せ~、涙を拭くな~」と〔星飛雄馬〕のような気持ちで、つゆだく、いや〔汗だく〕の読経をしていた。
 そして、読経が終ったとたん、後ろで座って居られたお婆さんが一言。
 「院主さん、裏の畑のお爺さんを呼んでもらえまへんか~。暑さで目まいがしますねん。救急車を呼んでもらおうかと思て・・」とおっしゃる。
 びっくりした僕は、「すぐ呼んで来ますけど、〔救急車〕より僕の車の方が病院まで速いですよ!・・僕の車で行きましょう!」と言ったが、返事が無いので、横になってもらって、すぐにご主人を呼びに走った。
 そして、驚いたご主人はすぐに帰って来られて、「お前、大丈夫か? 救急車呼ぼうか?」と言われたが、ご主人の顔を見られたら、ちょっと落ち着かれたのか、「やっぱり、まだええわ。・・ちょっと寝るわ」と言われて休まれた。
 何か、僕に出きる事はないかとアタフタとしていたら、ご主人が、「院主さん、大丈夫ですわ。・・ちゃんと目を開いて、しゃべってたし・・。扇風機の風当てたら、顔色良くなってきましたわ。・・もうちょっと様子見て、あかんかったら救急車呼びます」と云われた。
 それ以上、介入できないので、僕は「今日は、この周辺をずっとお参りして回ってますので、車が必要でしたら、すぐに僕の〔携帯〕に電話して下さいや。」と言って、その家を離れた。
 その後、他の家でお参りしながら、常に耳をすませていたが、結局、救急車のサイレンは聞こえなかったので、僕はお寺に帰ることにした。

 そして再び、今日、そこのお家にお参りに行ったら、お婆ちゃんが出てこられて、「院主さん、この前はありがとうございました。 あの後ちょっと休んでから、結局、病院まで行きましてん。そして、精密検査してもらったんやけど、どっこも悪いトコありませんでしたわ。 脳のトンネル検査(MRI検査の事か?)もしてもらったけど、大丈夫でした。きっと暑さのせいですわ。ご心配お掛けしてすみませんでした。」と言われ、そこのお家で取れた〔いちぢく〕のパックを山盛り下さった。
 僕は「良かったですねー!」と思わず拍手した。
 その〔拍手〕の中身は、扇風機を仏壇横にセットする事に、ようやく気づいて下さった事も入っていた。
 

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