その夜、主人の言った通り、八つの頭を持つ巨大な大蛇〔ヤマタノオロチ〕は現れたんじゃ。
〔ヤマタノオロチ〕は屋敷に入ろうとしたが、目の前の(酒の入った)桶に気がついた。
そして、八つの頭すべてが、その酒を飲み始めたんじゃ。
その様子を〔スサノオ〕は、岩陰からそっと見ておった。
それから間もなく、〔ヤマタノオロチ〕は体中に酔いが回り、その場に倒れて、イビキを掻き眠り始めたんじゃ。
それを見て、「今だ!」と〔スサノオ〕は、剣を振り上げ飛び出した。
そして、「エイッ!」、「ヤァッ!」と、瞬く間にその首を斬り落とした。
こうして、〔ヤマタノオロチ〕は、あっという間に退治されてしまったんじゃ。
「お~い、みんな、もう大丈夫だぞ!」と〔スサノオ〕が言うと、老夫婦と娘は、屋敷の窓からそっと顔を出した。
「おおっ、お見事!」と主人は叫んだ。
(・・余談ながら、以前、この紙芝居を作るために、東宝特撮映画「日本誕生」を何度も見た。 三船敏郎演じる〔スサノオ〕の神が、〔キングギドラ〕みたいな〔ヤマタノオロチ〕を、走り回って切り捲るのだが、その場面は「七人の侍」の〔菊千代〕のように見えてしょうがなかった。)
こうして約束通り、〔クシナダ姫〕は、〔スサノオ〕の神の妻となったんじゃ。
そして、やがて二人は(のち《パワースポット》となる〔笑〕)、《出雲の国》に大きな御殿を建てて、その国は大いに、繁栄したということじゃ。
その〔スサノオ〕の神から《六代目》の子孫が、〔オホアナムチ〕という御方で、のち〔大国主命(オオクニヌシノミコト)〕という名で有名に成り、大活躍されるのじゃが、・・それは又、別のお話。
ひとまず『古事記』は、これで終わりじゃ。