・・僕は、この話をあちこちでしたかったので、「紙芝居」を作り始めたと言っても良い。
原作の『お経』の内容を少し変え、宮本流のオリジナルにしているこの作品。 作ってからすでに14年経っているが、今もいろんな病院やお寺からリクエストがあって、やらせてもらっている(悲しいけれど救われる)人気作品である。・・今回は《全三回》〔完全版〕で書かせて頂きます。
昔、インドの〔サーバッティ〕という町に、『キサー・ゴータミー』という若いお母さんが居ました。
〔ゴータミー〕には、幼い子供がおりました。
〔ゴータミー〕は、それはそれはその子供を大事にして可愛がっておりました。
・・が、しかし、その子供は急な病に掛かって、あっという間に死んでしまったのでした。
そのあまりのショックと悲しさで、〔ゴータミー〕は気がおかしくなってしまいました。
夫や両親は、そんな〔ゴータミー〕を優しく慰めました。
「ゴータミーよ、そんなにいつまでも泣いていてはダメだよ。
この子は死んだんだよ。・・もう生き返りははない。
早く、お葬式を出してあげよう」と、夫は言いました。
しかし、〔ゴータミー〕は聞く耳を持ちません。
「違う、違う・・。この子は死んではいない。きっと重い病気のまま眠っているだけだわ。
偉いお医者様なら、きっとこの子を治して下さるはず。
・・そうだ。そんなお医者様を探しに行きましょう!」
〔ゴータミー〕は、家族が止めるのを振り切って、死んだ子供を抱いたまま、外へ飛び出して行きました。
「お願いです! どなたかこの子を治して下さる、そんな偉いお医者さまを知りませんかー! どなたか助けてくださーい!」
半狂乱になった〔ゴータミー〕は、死んだ子供を抱きしめて、町を駆け回りました。
「かわいそうになぁ。・・しかし、死んだ子供を生き返らせるような医者など、どこにも居ないわなぁ・・。」と、町の人々は〔ゴータミー〕に同情はしましたが、誰もどうしようも出来ませんでした。
そんな〔ゴータミー〕を見るに見兼ねた一人の医者が、近づいて言いました。
「ゴータミーさん。・・お釈迦様なら、あなたの子供さんを、何とかして下さるかもしれませんよ。・・一度、お釈迦様のお寺に行ってみられては、どうでしょうか?」と。
「はっはい!・・お釈迦様ですね。・・わかりました。今からすぐに参ります!」
〔ゴータミー〕は疲れてはおりましたが、残る力を振り絞って、お釈迦様のお寺へと向かいました。 つづく
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