住職のつぼやき[管理用]

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紙芝居:『王様と老人』 その3

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 「お椀一杯の水が『全世界の水よりも値打ちがある!』と言った者を当てよだと。・・う~ん、さっぱりわからんわい!?」と皆、さじを投げてしまった。
 そこで、例の大臣は又又、全力疾走!
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そして父に聞くと、「おおっ、それはおそらく砂漠で迷子になった者か、・・あるいは、今、息を引き取ろうとしている者だろう。・・かつて、ワシはそのように言った者を見たことがある」と述べた。
 大臣はそれを聞き、又急いで王様に報告した。
「おおっ、そうか、そうか。なるほど、なるほど!」と王様はその答えを隣国の王様に告げた。
 すると、しばらくして・・・、隣国の国王から、
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一通の詫び状とたくさんの宝石類が届いた。
 その手紙の内容はというと、「親愛なる隣りの国の王様へ ワシの出した難問によくぞ見事に答えられた。全問正解じゃ。・・正直言って、そなたのような知恵者のおる国とは戦いたくない。これまでの無礼はどうか許して欲しい、ごめんちゃい。 これから、お互い仲良くしようではないか。一緒に送った宝石はそのお詫びのしるしだ。どうか受け取って欲しい。 隣りの国王より」と書かれてあった。
 その手紙を読んだ王様は「ここにすぐ、例の大臣を呼べ。ほうびを取らす!」と叫んだ。
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 やがて、例の大臣が一人の老人をつれて、王様の前に現れた。
「王様、お許し下さい。私は王様のいいつけを守らず、年老いた父を隠しておりました。・・しかし、隣国の王の難題を解いてくれたのは、すべてこの老父なのです。どうか、私の褒美にかえて、この父と暮らすことをお許し下さい」と、大臣は深々と頭を下げた。
 それを見た王様は、自らの間違いに気がつき、大臣親子に詫びてこう言った。
「こちらこそ、どうか許してくれ。ワシは間違っておった。年を取るということは、たくさんの智恵を身に付けるという事だったのじゃな。よくわかった。大臣の父よ、礼を申すぞ!」と。
 そして、大きな声で家来たちに向って告げた。
「皆のもの!ただちに、遠くの森におられる御老人方をお迎えに行け!・・しかも丁重にだぞ! そしてこれからは、年を取られたご老人を大切にしない者は厳罰に処す!」と・・。
 こうして、この小さな国は大きな国にも負けず、末長く栄えたという事です。 めでたし、めでたし・・。
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