住職のつぼやき[管理用]

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Kさんの事・・・

 ・・十五年程前の話になるが、(今のお寺に)入寺する前、僕の自宅にて、《仏教勉強会》なるものをやっていた。
 生徒さんは、どちらも定年退職をされた(看護師さんと介護福祉士の先生の)二人の女性であり、「仕事を終え、老いてゆくにあたり、心の拠り所が欲しい。それで仏教を学びたい」、というご要望で、ご縁があり、(浅学ながら)この《勉強会》を始めるに到ったのである。
 約二年間、毎月一回、この《勉強会》は続いた。(勉強会というより、「仏教書」の朗読会に近かった。)
 お二人とも大変熱心な方であった。(・・今もお二人との交流は続いている)
 その生徒さんのお一人が、Kさん(現在79歳)である。
 Kさんは、介護福祉のエキスパートであったが、数年前に体調を崩され、現在〔要介護1〕の認定を受けておられ、自宅で養生なさっておられる。
 そのKさんから、昨日メールが届いた。それで、今日はその文を紹介したいと思う。(とても、感慨深い内容なので・・)

「(前文、略)・・人の世話になるというのは、心から感謝しなければならない事なのに、・・元気になると、ヘルパーさんとの人間関係が煩わしくなります。
 この歳になると、健康も精神も、山あり谷ありで、今は《山》であっても、何時、《谷》が来るか解らないのでして、《谷》になると、ヘルパーさんが〔神様〕になり、元気になると鬱陶しくなるのです。全く私という人間は、得手勝手だとしみじみ思います。・・」
 このような内容なのであるが、非常に正直に、日々の心の変化をを語っておられ、心を打たれる。
 僕もきっと、同じように感じながら、歳を取ってゆくのだろうなと思った。
 「Kさん、それだけ自分自身を客観的に見つめる事が出来ているなら、まだまだ身体も心も大丈夫ですよ!そのヘルパーさんをしっかりイビッて、教育してあげて下さい!〔笑〕」

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