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「私の宗教は、こんなのと違う!」~白寿苑での出来事~

ファイル 226-1.jpg(今年最後の〔法話会〕記念写真)
 昨日は、今年最後の特養『白寿苑』での〔法話会〕の日であった。
 そこであった失敗談を今日は書く。

 寝たきりになられて、〔法話会〕に出席する事が出来なくなったYさんという(目が見えない)98才の女性がおられ、その方の為に、現在〔法話会〕の様子を職員さんが《カセットテープ》に録音して、お部屋で聴いてもらっている。
 昨日もその録音が終わり、職員さんがお部屋に持って行こうとされたので、「テープよりも生の声の方が良いやろう」と僕は思い、一緒にお部屋まで行かせてもらった。
 すでにYさんは寝ておられたのだが、職員さんが声を掛けられたら起きられた。
 職員さんが枕元で「住職さんが来て下さったよ」と言われたので、僕はYさんの手を両手で握り、いつもテープを聴いてもらっているお礼を言ったのち「一緒にお念仏しましょうか?」と言って念仏を称え始めた。
・・しばらくすると、Yさんも一緒に《念仏》を称え始められたので、(僕は前にこの方の《宗旨》が〔真言宗〕だと聴いていたので、)そのまま《般若心経》もゆっくり称え始めた。
 すると、突然Yさんは「私の宗教は、こんなのと違う!」と言って、手を振り放し、廻され、布団も蹴って暴れ出し始められた。
 僕も職員さんもびっくりしていると、Yさんは「神さんはありがたやー。ありがたやの宗教やー、仏さんもありがたやー」と言ってさらに寝たまま手を振り回される。
 「これは宗旨が違うわ」と思ったので、それから〔題目〕あげたり、〔真言〕を称えたり、色んなお経を即興で試みた(祝詞まで上げた)のだが、本人がパニックになっている為、全くダメであった。
 職員さんが「Yさん、自分の世界に入り込んでしまっている為、もうこうなったらあきませんわ」と言われたので、これ以上お邪魔したらダメだと思い、「お役に立てずにすみません」と言って退散した。
 「そんな事ありませんよ。有難うございました」と職員さんは慰めて下さり、玄関でお別れしたのだが、帰り車の中で落ち込んだ。
 「いったい何が悪かったのか?お経を称えたのが良くなかったのだろうか?お迎えが来たかと勘違いされたのではないか?・・あの時、念仏だけでやめておけば良かった・・。さっと引き上げる勇気を持たねば・・。その場の空気を感じなければ。お経を一緒に称え《心の安らぎ》を得てもらおうなどと思ったのは僕の欲だった」と反省した。

 どれだけの時間をその方に《寄り添えば良いか》。それを瞬時に見極める判断力を持たねばと思った。