住職のつぼやき[管理用]

記事一覧

※画像をクリックすると拡大されます。

映画『殯(モガリ)の森』の主人公と・・・

 『殯』・・。(もがり)と読む。
 難しい文字だ。
 意味は、《敬う人の死を惜しみ、しのぶ時間のこと。又その場所の意味。語源に『喪あがり』(喪があける)の意もある》
 奈良県出身の女性映画監督〔河瀬直美〕氏が、取った作品『殯の森』は、2007年、カンヌ国際映画祭で見事《グランプリ》に輝いた。
ファイル 169-1.jpg
 映画のストーリーを簡単に説明する。
『奈良県の山間部にある《グループホーム》で暮らす〔しげき〕は認知症で、亡き妻の思い出とともに静かに暮らしていた。
 そこに、不慮の事故で自分の子を失い、喪失感を抱えたまま生きる〔真千子〕が、新任介護士としてやってくる。
 介護する者と、される者。そのお互いの立場を超えて、二人は少しずつ打ち解けていく。
 ある日、二人は〔しげき〕の妻の眠る《森》に墓参りに出かけるが、途中車の脱輪によって、二人は徒歩で《深い森》に迷いこんでしまう。道に迷った二人に待ち受けていたものは、《森の洗礼》とでもいうべき、さまざまな出来事であった・・』
 このほとんど、セリフのない映画の主人公を演じるのは、現在『ならまち文庫・古書喫茶ちちろ』マスターである〔うだしげき〕さん(写真)である。〔俳優としては素人さんだったそうだ〕
ファイル 169-2.jpg
 前置きが長くなったが、昨日、妻と《奈良町散策》に出かけ、偶然このお店に入り、偶然、店内の台所で(さんま)を焼いて食事の用意をされていた〔うだしげき〕さんとお話をする機会を頂き、〔映画製作の裏話(認知症を役として演じる大変さ。実際にグループホームで何週間も暮されたそうだ)〕や、監督の忙しい私生活(?)の話、又、〔カンヌでのエピソード〕など、貴重なお話をたくさん聞かせて頂いた。又、記念写真(写真)もご一緒に入って写って下さった。(DVDにサイン)もして頂いた。
 店が、たまたま暇だった(?)という幸運さもあったが、この『カンヌ・グランプリ作品』の裏話(本意)をたっぷり聞けたというのは、とてもラッキーな事であった。
 《生きることと死にゆくこと》を、《森・自然》という第三の主役の目を通して描いたこの作品は、まさに《仏教的・宗教的》作品といえると思う。
 仏様の思し召しで、今日の偶然の出会いがあった事に感謝したい。

 ・・余談であるが、実際、先程までご一緒に時を過ごさせていただいた方が、その日の晩の、自宅のDVD映画に〔認知症老人の役者として〕登場された事実に多少とまどってしまった。

上に戻る