住職のつぼやき[管理用]

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さまざまな、それぞれの悩み・・

 〔お寺〕の仕事をしていると、さまざまな人と『ご縁』ができ、そして、さまざまな方が来院される。
 先日も、自死された若い男性のお葬式をさせて頂いたのが、ご縁で、その方の奥様とお子様達が、自坊にお参りに来られた。
 この亡くなられた男性は、仕事や人間関係、そして借金などの悩みを抱え、最後は、自ら命を絶つという選択を取られたのだが、・・後に残された家族はたまったもんじゃない!
 長い長い月日と時間、〔その事〕を引きずりながら、これから生きてゆかねばならないのだ。
 生活の心配もあるが、この残された家族の〔心のケア〕は、いったい誰がしてあげれば良いのだ!
 少なくとも僕にはできない・・。
 この亡くなられた男性のご両親は、今、この奥さんの事を怨んでおられる。
 もちろん、どうしようもない事だと解っていながら、「どうして息子に一番近いあなたが、察知して止められなかったのか!」と思っておられるのだ。
 親としては当然の気持ちであろう。
 でも、お嫁さんにも言い分はある。「死にたい、死にたいとあれだけ言っていた人なので、今は本当に楽になったろうなと思っているのです。あの人の気持ちが一番解っていたのは私です。・・でもやっぱり寂しく、つらいのです」という・・想いがある。
 僕は、その〔義理〕の親と子の間にたって、お互いの今の気持ちをそれぞれに聴き、お互いへ、その言葉のキャッチボールをしてあげるぐらいしかできない。
 今はただお話を聴き、一緒にお参りをするだけなのだ。
 この自死された方の奥さんは、今、毎日、亡くなったご主人への手紙を書いておられる。
 それを持ってお寺にお参りに来られるのだが、「この手紙、後はどのように始末すれば良いですか?」と聞かれる。
 それで、「今はそのまま大事に保管しておいて下さい。その内にお寺で〔お炊き上げ〕させてもらいますので・・」と僕は言っている。
 その手紙は、いつか、ご両親にお見せしてお話してあげたいと思っている。
 
 

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