「自分で選んだ《好きな仕事》をしているくせに、『仕事がしんどい!』とボヤくのは、お父さん(僕の事)は《矛盾》してるわ!」と、・・時々、妻は僕を叱る。
叱られる度に「あなたのおっしゃる通りでございます」と心の中で妻に謝る。・・腹が立つから言葉にはしないが・・。
そんな僕の中の《矛盾》から、その言葉のルーツを調べたくなり、そして「この話おもろい!『紙芝居』にしたろ」と思って作ったのがこのお話。
(昔ばなしもの10)
昔むかしの中国のお話。
楚(そ)という国にいい加減なひとりの商人がおりました。この男、矛(ホコ)や盾(タテ)など、武器を売る商売をしておりました。
今日も今日とて、人の集まる市場で商売を始めましたが、この日に限って一向に売れません。
・・そこで、ある事を思いつき口上を始めました。
「さあっいらっしゃい、ここに取り出したるは、世界で一番頑丈な〔盾〕だよ!この盾はどんな鋭い矛で突いても跳ね返すよ。さぁ買った買った!」
この言葉にたくさんの人が集まり『おおっ』と歓声が上がりました。
そこで気を良くしたこの商人は次に・・、
「さて、次に出したるはこの〔矛〕。これで突かれたらどんな盾でも穴が開いてしまう世界一鋭い矛だよ!」と言いました。
それを聞いたひとりのお客が・・、
「それじゃ、その何でも跳ね返す〔盾〕に、その何でも貫くその〔矛〕を突いたら、いったいどうなるのかね?」と聞いた。
商人はその言葉に答える事ができなくて・・、
顔を真っ赤にしたまま、あたふたと道具をまとめて、帰ったそうです。
やがて、このお話から《矛盾》という言葉が生まれたという事です。おしまい。
(今でも、外国の《TVショッピング》で、なんか有りそうな感じ・・〔笑い〕)