住職のつぼやき[管理用]

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ここは地獄か、極楽か?

 3年前の話になるが・・。
大阪は西成区に釜ヶ崎、通称『あいりん地区』と呼ばれる地域があり、この場所に研修に行った事がある。
 この研修、名づけて《おっちゃんガイド釜ヶ崎研修ツアー》といい、主催は《釜ヶ崎の町再生フォーラム》という会が運営している。
その会の趣旨を簡単に述べる。
〔ホームレス問題やこの地域での町づくりについて、現地訪問をして学びを深め、それを通じて市民社会とこの地域との《架け橋》になる事〕とある・・。
そして、その方法は〔主に生活保護で暮らしてる《単身高齢者》と《再生フォーラムのスタッフ》が地域ガイドをし、そこに住んでいる人々の暮らしぶりや、人々が取り組むさまざまな活動について説明をする。〕・・とある。
このツアーに参加した。真冬でもあったのだが、参加者は3名だった。
 我々を《ガイド》してくれたスタッフは、この地域を舞台に描く漫画家でもあり、西成区労働福祉センター職員の〔ありむら潜〕さんであった。
ありむらさんの作品には『かまやん』という自由人が笑いを通して、〔あいりん地区〕で活躍する大作漫画がある。(写真参照)
ファイル 52-1.jpg
そして、もう一人の《ガイド》は、この漫画のモデルの一人であるNさんだった。
この御二人に案内してもらい、人やハトがごっちゃがえす〔労働福祉センター〕内や、野犬の多い〔四角公園〕、そして炊き出しで有名な〔三角公園〕、人のあふれる〔聖フランシスコ会〕、簡易宿泊所を改造した〔サポーティブハウス〕などを回らせていただいた。
正直、テレビでしか知らない世界を案内していただき、感動とともにその現実の凄さにショックを受けた。
 僕達を案内してくれたNさんが、最後に僕に尋ねられた。
「今日一日、この町を見てきはって、ここを〔地獄〕やと思いましたか?〔極楽〕やと思いましたか?」と・・。
仕事をせずにお酒を飲んで一日ウダウダしている人は一見〔極楽〕の中にいるように見えるが、凍死や餓死、そして喧嘩などで亡くなる可能性もあるので〔地獄〕のようにも思える。
僕は、何も答えることができなかった・・。
すると、ありむらさんがボソッと口を挟んだ。
「ここが地獄か極楽かはわからんけど、間違いなくココは《現実》です」と・・。
この言葉が今も頭の中にしっかりと刻み込まれている。
この体験から、夏の三角公園での《盆踊り大会》参加へとつながっていくのだが、長くなったので今回はここでひとまず終わり!又機会があれば、《あいりん地区》のことについて書きます。

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