住職のつぼやき[管理用]

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「はい、住職さん質問です。・・ 『幸せ』っていったいどんな気持ち何ですか?」

 老人ホームで「法話会」をしていると、時々、もの凄く難しい質問をしてくる人がいる。
 先週の金曜日にも、そんな質問が出た。
 その日、僕は『でんでんむしのかなしみ』という紙芝居をした。
 ・・それは、「或る日、一匹のでんでん虫が自分の殻の中に〔悲しみ〕が一杯詰まっている事に気づく。そして、悩んだ末にそのでんでんむしは、いろんな友達のところに行って相談するが、皆同じ体験をしていて、自分ばかりではないと気づき、その後、元気に生きようと決心する。」というお話である。
 僕はこの紙芝居をした後、「悲しみを一杯抱いて生きてるのは、自分だけではないのですよね。・・悲しみの大小の違いはあってもみんな一緒ですね。・・不平不満よりも感謝の気持ちを持って生きた方が〔幸せ〕なんじゃないでしょうか?そんな風に生きませんか?」と言い、内心『よっしゃぁ~、うまくまとまった。・・さぁ帰ろ。』と思ったら、その時、一人の老婦人が手を挙げられたのだ。

 「はい、質問です。・・あの、私はずっと父親に言われ続けた言葉があります。それは『お前が生まれた時が一番幸せやった。・・そやけど、その後、ずっと何一つ良いことが無く、人生不幸のままやった』と。そして父は亡くなりました。・・この言葉が今も頭から離れません。
 私は今ここ(苑内)で、何不自由なく暮らさせてもらってますけど、『だから幸せか?』と言われたら、何かそうでもないような気がしてます。
 住職さん、『幸せ』っていったいどんな気持ち何でしょうか?」と、来た。
 難しい質問だ。・・お経の中にこの回答が載っているのだろうか? いや、お経の中の回答を探してきても、この人は納得されるだろうか?

 ・・で、僕は(自分が思ったままを)言った。
 「・・残酷なことをお父さんに言われはったように感じました。何か、『お前はこの家にやって来た貧乏神や!』と言われたような感じですよね。・・でも、お父さんにとっては、あなたが生まれた時が、一番幸せやったんかもしれませんね。そんな事が言いたかったのかも。・・けどずっとその後、苦労をし続けはったんで、あなたを見たらそんな言葉がポツポツ出たんかなぁ?
 ・・結局その言葉はお父さんの愚痴みたいなもんやったんとちゃいますやろか?・・でも言われたもんは、たまったもんやないですよね。

 さて、ご質問の『幸せって何?』ということですけど、人によって違うように思います。・・お金持ちでも幸せでない人も居るし、貧乏でも満ち足りた精神の人も居るし、・・やっぱり人によっての心の取り方とちゃいますやろか?
 『僕はどうなのか?』と言われたら、さてどうやろ?・・仕事もあるし、まぁまぁ健康やし、家族も居てるけど、時々、他の左うちわの大寺院に比べて、僕はなぜこんなに(色んな意味で)苦労せなあかんのかなぁ?と思ったりします。これって、幸せじゃないですよね。さぁ困りました。・・さて、皆さんはどう思いますか?」と、後は皆に振って逃げた。
 その結果、誰も何も言わんかったので、「じぁ、今日は時間が無いのでこれで終わりましょう。」と言って、法話会を終ったが、車の中で自分自身にずっと自答し続けた。
「お前は今『幸せ』か? お前にとって『幸せ』って何か?」と。 宗教でご飯食べてる僕が、このざまです。
 ・・はてさて、その答えは?? 
 いつか、見つかるんかいな?
 
 

コメント一覧

抹茶ソフト 2012年09月25日(火)00時16分 編集・削除

ご無沙汰してます。
ん〜幸せの定義は本当に難しいですね。

私は今、念願の大好きな場所で働かせて頂いてるので、「あ〜傍楽(はたらく=傍を楽にする)って幸せやなぁ。生きてる意味、ミッションがあるから今わたしここにいられるんだなぁ」ってしみじみ思います。

いつも仕事に感謝して、周りで取り巻いてくれてるかたに感謝して、喜んで日々前進したいです☆
住職さんに話したいこといっぱいです(笑)

カンネン亭 2012年09月25日(火)11時22分 編集・削除

 抹茶ソフトさん
・・幸せそうで何よりです。
 どうぞ、一度お寺においでください。
 そして、幸せなお話を一杯聞かせてくださいな。(笑)

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