(映画『素晴らしき哉、人生!』)
今年の夏、東北(仙台)の震災ボランティアセンターに行った時、「今、被災地で『素晴らしき哉、人生!』という、古いアメリカ映画がヒットしている。・・この映画をミニシアターやビデオで、皆見ながら心を癒している。」という話を聞いた。
僕は思わず、『そんな、被災地の人を癒す映画があるのか?!』と驚き、大阪に帰ってから、急いでDVDを探して買って見た。
そしていつしか、このお話を日本バーションにして、紙芝居化したいと思い、先週ようやく完成した。
それでは、日本版『素晴らしき哉、人生!』のお話をご覧下さい。はじまり、はじまり~
〔半人前地蔵〕「皆さん、お初にお目に掛かります。ワタクシ〔半人前地蔵〕と申します。
えっ?なぜ、半人前なのかって?・・それは、まだ私は〔地蔵〕として見習いだからなのです。
それで、まだ〔後光〕も光っていないのですよ。・・ああ、早く人間になりたい!・・じゃなくて、早く一人前になりたい!
そうそう、そんな私に本日、ビックチャンスが来たのです。
・・と申しますのは、先ほど、お釈迦さまに呼び出されまして、極楽の宮殿に参りましたら、次のように云われたのでございます。
〔お釈迦さま〕「おっほん、半人前地蔵よ。・・今、地上で人生に悲観し、自殺をしようとしている男がいる。・・お前は、その男の下に行って命を助けよ。・・そして、その男に『あぁっ、素晴らしき哉、人生!』と叫ばせてみよ。・・もしそれが出来たら、お前を一人前にして後光をプレゼントしてやる。・・どうじゃ出来るか?」と、おっしゃられたのです。
〔半人前地蔵〕「それで、もう私は嬉しくて嬉しくて、『ハイッ!』一声でお受けし、今からその男の下に向かうのでございます。
おおっ、居りました。今、橋の上から飛び降りようとしております。・・確か、男の名は〔長一〕と云ったはず。
「おーい、長一! 死んではならん!」と、私は急いで彼を呼び止めました。
すると、長一は驚いて「あっ、お地蔵さま!」と叫び、その場でしゃがみ込んだのでございます。
彼はひどく酔っておりました。
私は言いました。
「長一っ、なぜ、死のうとした。一つしか無い命。粗末にしてはならん!」と。
すると彼は、自分が死のうとしていた訳を話し始めたのでございます。」 つづく