住職のつぼやき[管理用]

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『ゴータミー』と私

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私が病院や施設で、何度も何度も演じている紙芝居に『子供を亡くしたゴータミー(出前のメニュー・仏教もの7)』という作品があります。
これは仏教経典に書かれてあり、幼い子供を亡くしてノイローゼのような状態になったゴータミーという若い母親を、お釈迦様がお救いになるお話です。
亡くなったわが子の死が信じられず、その子を抱いたまま、救いを求めてインドの町を走り回るゴータミー。
そんなゴータミーにお釈迦様は「ケシの実」をもらってくれば、なんとかしてやろうと言われます。「ただし一度もお葬式を出したことのない家からもらってくるように」との条件をつけて・・。喜び勇んで何軒もの家を尋ねて回るゴータミー。どこの家にも「ケシの実」はあるのですが、今の日本とは違い、当時のインドは皆が大家族で生活をしていた為、お葬式を出さない家は結局一軒も見つかりませんでした。
しかし、ゴータミーは正気に戻って悟ります。
それは一軒一軒の家で、それぞれの別れの話をじっくり聴かせてもらったからなのでした。ゴータミーは思います。「悲しい別れは私だけではないのだわ。みんなつらいのだ。(共感) そして人というのは必ず死ぬものなのだ。(真理)」と・・。
私はこのお話が好きです・・。二千五百年も前のお話ですが、今も私達の心を深く打つのは、この物語のテーマが普遍的なものだからでしょう。ゴータミーが悟った(この当たり前だけど、誰もが気づきたくない真実)をこれからも私は紙芝居を通して伝えていきたいと思います。

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