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紙芝居:「実録 稲むらの火 (津波編)」 前編

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 これは『津波』の話である。
 いや、津波被害から村を復興させた男の話である。
 この作品は、去年の夏の終りから現地リサーチをして、秋から(前編・後編)の二部作にして作り始めたものだ。
 完成間際に、突然、東日本大震災が起った。
 あまりにも完成時期がタイムリーだったので、作るのを中断しようかと悩んだが、何かに憑かれたかのように完成させてしまった。
 又、このブログにも載せるのは時期尚早ではないかとも思ったが、この話が「危機的状況下における臨機応変な一人の人間の判断力」と「被災からの復興」をテーマにしたものという判断から、このブログに急遽、作りたての紙芝居をアップさせることにした。
又、これも大阪に居て、『紙芝居屋亭』ができる、被災地への小さな小さな(生き方の)支援になるのではないかとも思ったのだ。 そこのところを了承して頂き、読んで戴ければ幸いである。合掌
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 これは、今からおよそ150年程前のお話です。
 ここは、静かな漁村、和歌山県〔広村(ひろむら)〕。今の有田郡 広川町です。
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 この村に大きな醤油業を営む『浜口梧陵(はまぐち ごりょう)』という商人がおりました。
 彼は、この村で結婚し、二人の子の父親でもありました。
 〔梧陵(ごりょう)〕は、様々な学問を学び、
 そして歴史から考えれば、やがて大きな地震が起き、大津波が襲ってくると予想しておりました。
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 江戸末期、安政元年(1854年)11月5日、夕方の4時頃、ついにその大地震は起きました。
 それは、世に云う『安政大地震』でした。
 (梧陵)「地震だ!みんな外へ逃げろ!!」
 (子供)「キャー、お父ちゃん、恐いよー!」
 壁は崩れ、傾いた家から、梧陵の家族は何とか逃げ出せました。
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 (梧陵)「あれを見ろ!なんという事だ・・。潮が沖へと引いてゆく」
 梧陵は海を見つめて言いました。
 (子供たち)「お父ちゃん、海の水が無くなってるよ~」
 (梧陵)「うん、間違いない。あれは伝えに聞いてる『津波』の前触れだ。 間もなく津波はこの村にやってくる! お前達はすぐに山の上の神社に避難しなさい! 私は村のみんなにその事を知らせに行ってくる!」
 そう言って、梧陵は一人、村の中へ駆け出したのでした。 つづく