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紙芝居:「走れメロス」 その8(最終回)

 東北・関東大震災が起こり、「メロス」をほったらかしにしてしまっていた。
このままでは、メロスはただのストリーキングの兄ちゃんだ。 
・・今回で完結させます。ご安心を。
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 疲労困憊の中、刑場に突入したメロスは必死で叫びました。
「待てっ!・・その男を殺してならぬ!・・メロスは帰って来たぞ。約束どおり帰って来たぞー!」
 そして続けて、
「私だ!・・殺されるのは、このわ・た・し・だ!」と、かすれた声で精一杯叫び、吊り上げられてゆく友の両足に、必死で取りすがりました。
 それを見た群集はどよめき、
「あっぱれだー!許してやれー!」と口々に喚きました。
 こうして、友〔セリヌンティウス〕の縄は解かれ、下ろされました。
 「セリヌンティウス・・。」と、メロスは目に涙を一杯ためて言いました。
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 「我が友〔セリヌンティウス〕、私を殴ってくれ。
私は途中、一度悪い夢を見た。君がもし、私を殴ってくれなかったら、私は君を抱きしめる資格がないのだ。」
 それを聞き、セリヌンティウスはすべてを察し、刑場一杯に鳴り響く程、メロスの頬を殴りました。
 そして殴ってから、セリヌンティウスは優しく微笑み、
「メロスよ、今度は私を殴れ。同じぐらい私を殴れ。
 私はこの三日間、たった一度だけ、君を疑った。
 君が殴ってくれなかったら、私は君を抱きしめることができない。」と言いました。 
 それを聞き、メロスも拳にうねりをつけて友を殴りました。
 「ありがとう友よ!」と、
 二人は同時に言い、ひしっと抱き合い、それから嬉し泣きにおいおいと声を放って泣き始めました。
 それを見た群集からも、すすり泣きの声が聞こえました。
 そして、群集の後ろで、二人の様子をまじまじと見ていた王は、やがて顔を赤らめてこう言いました。
「・・私が間違っていた。
 《信じる》という事は、決して愚かな事ではなかったのだ。
 ・・お前達はそれを私に教えてくれた。
 これから、私をお前達の仲間に入れてくれないだろうか?」と。
 それを聞いたメロスとセリヌンティウスは、深く頷きました。
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 こうして、元の平和な国に戻ったということは、言うまでもありません。 おしまい