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紙芝居:「走れメロス」 その7

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 メロスは、走りながら心の中でつぶやきました。
「さっきのは〔悪魔〕のささやきだ。・・あれは夢だ。疲れていたからあんな夢を見たのだ。
 あぁっ、陽が沈む。待ってくれ・・。」
 メロスは黒い風のように走りました。
 少しずつ沈んでゆく太陽の十倍も早く走りました。
 今やメロスは、山賊との格闘によって服は破れ、ほとんど裸でした。。
 「かまわぬ。・・風体などどうでも良い」と、元祖ストリーキングマン:メロスは走り続けました。
 もう、息も出来ず、二・三度口から血を吐きました。
 その時、遥か向こうに、夕陽を受けたお城の屋根が見えたのでした。
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 そして、メロスは必死の形相で町に入りました。
 その時です。
 一人の若者がメロスに追いつき、声を掛けました。
 「私は〔セリヌンティウス〕の弟子でございます。・・もう間に合いません。走るのをやめて下さい。・・あぁっ、なんと云うことだ! 師匠は、王にさんざんからかわれたのです。しかし、『メロスは来ます!』とだけ答えました。」と・・。
 それを聞いてメロスは、
「だから、走るんだ。信じられてるから走るんだ。
 ・・間に合う、間に合わないは問題ではない!
 私はなんだかもっと恐ろしく、大きなものの為に走っているのだ!」と答えました。
 今やメロスの頭は空っぽでした。
 何ひとつ考えていませんでした。
 ただ、訳のわからぬ大きな力に引きずられて走り続けました。
 そして、ついに刑場に突入しました。 つづく。(次回、最終回)