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紙芝居:「ある抗議書」 その6

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「・・それは、犯人〔坂下鶴吉〕が処刑されてから、一年近く経った頃のことです。
 私は或る日、新聞広告で『坂下鶴吉の告白』という本が、彼の弁護士によって、出版されたことを知りました。
 私は不快ながら、その本を手に入れ読みました。
 読み始めるにつれ、私は忘れようとしていたあの〔憎悪〕の気持ちが、再び、甦ってくるのを止める事が出来ませんでした。
 又、《国家刑罰》のあり方に対しても、疑問を持たざるを得ませんでした。」
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「閣下、
 この『告白』の書によりますと、九人の命を奪った犯人〔坂下〕は、『自分は《天国》へ行く』と、喜んで死んでいったのです。
 〔坂下〕は、死刑を宣告されてから、獄中で《天国の教え》を説く宗教に〔入信〕したそうです。
 この宗教の《神》を信じ、懺悔すれば、これまでの〔罪〕は許され、死後、天国へ行けるとという教えを〔坂下〕は聞き、監獄の中で、それを信じ、あやつは「心安らかに、自分は天国へ旅立つ」と言って、処刑されたそうです。
 閣下・・、
 私を心の狭い人間だとお思いでしょうが、私は、犯人〔坂下〕に、自分の犯した罪の深さにおののき、苦しみ涙しながら、死んで往ってもらいたかったのです。
 姉夫婦の〔死に際の恐怖〕の、せめて千分の一でも、感じてもらいながら・・。」 つづく