住職のつぼやき[管理用]

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もう一つの「杜子春」のラスト ~「杜子春伝」より

 唐大伝奇の「杜子春伝」のラストを、芥川「杜子春」と比べて、「紙芝居」の『エピローグ』として書きたくなったので、「おまけ」として書きます。

 ・・場面は、「杜子春」が死んで、閻魔様の裁きを受ける所からです。
 閻魔大王「お前は、ほんにしぶとい奴じゃのう・・。よーし、それでは今から、お前を女として人の世に生まれ変らす事にする!」
 こうして「杜子春」は、ミス「杜子春」に生まれ変わり、結婚もして、子供も一人授かりました。
 しかし、今だ〔仙人〕との約束を守り、一言も喋らぬ「杜子春」。(まだ守るか~)
 そして、何も語らぬ「ミセス杜子春」に、ついに夫は、ある日逆上し、「しゃべらんなら、こうしてやる!」と、自分の子供を庭石に叩きつけて殺してしまうのです。(ヒェー、残酷!幼児虐待や!)
 その時、始めて悲しみの余り、ミセス杜子春は、「あぁっ」と一声発してしまい、〔仙人〕試験に失敗してしまうのです。
 そして、この後、芥川作品のような流れに戻ります。
(唐大伝奇では、この〔仙人〕。けっこう癖のある〔『不老長寿』の薬作りをしたがってるような〕変なジイさんです。 仙人は、『不老長寿』の薬を作る為の材料の一つとして、『(ミスター・スポックのような)感情無し人間』が必要だったので、わざと杜子春に大金を与え、うまく誘導して、仙人になりたいような気持ちにさせたのです。・・いわゆる杜子春は、仙人にうまくハメられた訳なのです。 僕はこの仙人は、映画『バック・トゥー・ザ・フューチャー』の博士のような感じがしました。(映画の博士は善い人ですが・・)・・以上、余談)
 ・・横道に逸れてしまいましたが、つまり、芥川作品では「子が親を思う」テストになっていますが、唐大伝奇では「親が子を思う」テストになっているのです。
 (・・ひょっとすると、実の母親との仲がうまくいってなかったと云われている〔芥川〕氏。 このように変えたのは、自分の心の叫びだったのかもしれませんね。・・これも余談ですが。)

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