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紙芝居:『杜子春(トシシュン)』 その4

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 暗い暗い道に、氷のような冷たい風がピューピュー吹いていました。
 杜子春は〔大魔神〕いや、「神将」の矛に突き殺され、この世から地獄へ行く道を、よろよろたどっていました。
 そして、向こうにぼんやり見えてきたのは、どうやら〔エンマ大王〕のお姿に違いありません。 
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「こらっ、その方はなんの為に峨眉山の上に座っておったのじゃ!」と、エンマ大王は尋ねました。
「ええい、なぜ、エンマ大王様のお尋ねに答えんのじゃ。ぶちのめすぞ!」と、配下の鬼たちが、杜子春をめたらやたらにぶちすえました。
 が、しかし杜子春は仙人の言いつけを守って、歯を食いしばり「ヒィ」という鳴き声一つあげませんでした。
 「大王様、こいつはよほどしぶとい奴でございます。鳴き声一つあげません」
 「うむ、わかった。よし、それではこやつの父母をつれて来い!確か、こいつの両親は〔畜生道〕に堕ちているはずじゃ!」とエンマ大王は命令しました。
 しばらくすると、ピシッ、ピシッ、とムチの音が聞こえ、
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 二匹の痩せ衰えた馬がつれて来られました。
 杜子春は、その馬を一目見るなり、自分の両親の変わり果てた姿だと解りました。
「よしっ、この馬を叩きのめせ! こやつが白状せぬ内は、この馬を叩いて叩いて、肉も骨も打ち砕いてしまえ!」と、チョー怖いエンマ大王。
 鬼達はその命令どおりに、二匹の馬を打ちすえました。
 それでも杜子春は、固く言いつけを守って黙っていました。
「それ打て!やれ打て!もっと打て!これでもまだ白状せぬか!」
 その時です。痩せ衰えた母馬が、杜子春に向かって一言つぶやいたのでした。
「・・杜子春や、心配おしでない。私達はどうなっても良いのだよ。お前は何かしゃべりたくない理由があるのだね。・・それでお前が幸せになれるのだったら、しゃべらなくて良いのだからね」と、母親は、息も絶え絶えに言ったのでした。
 その瞬間!
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「お母さんっ!」
 と、一声叫ぶなり、杜子春は転げるように母親を抱きしめたのでした。 
 つづく 次回、完結